長臂人

長臂人について

長臂人（ちょうひじん）は、中国の古代から伝わる伝説上の人種で、特にその特色でもある長い手が象徴的です。この存在は、修臂（しゅうひ）とも呼ばれ、古代中国の地理書『山海経』には、長股国の住人として記されています。彼らは南方の国々に住み、長い手を駆使して魚を捕る姿が描かれています。

概要

『山海経』の記述によると、長臂人は三首国や周饒国の東に位置する長股国に住んでおり、その身体的特徴は非常に目を引くものです。彼らの手は信じられないほどの長さを持ち、この特異な手を利用して海で魚を捕らえるとされています。このような表現は、古代中国の人々にとって、長臂人の生活様式や自然との関わりを象徴するものでありました。

他の古文献でも、長臂人に対する言及が見られ、例えば王圻の『三才図会』には、彼らが長股人に背負われて海に入る描写があります。また、ある逸話では、一丈ほどの長い袖を持つ衣服が発見され、これが長臂人のものであるとされています。これらの話は、日本の『和漢三才図会』や奈良絵本『異国物語』にも取り上げられ、長臂人に対する関心が広がっていったことを示しています。

日本への影響

長臂人の伝説は日本にも影響を与え、特に「手長（てなが）」という名称で知られるようになりました。1789年に出版された『頭書増補訓蒙図彙大成』には、長臂国（ちょうひごく）に「てながじま」という日本語が併記されています。このように、長臂人は日本の文学や文化にも浸透していきました。

長臂人の登場作品

長臂人は多くの日本の文学作品や芸術にも紹介されています。たとえば、書物『鏡花縁』では、彼らの長い手で魚を捕っている情景が描かれています。また、古浄瑠璃の『牛若弁慶島渡』では、「手ながしま」という島の住民として重要な役割を果たします。この作品では、長い手を持つキャラクターが登場し、海においてさまざまなエピソードが展開されます。

1776年に出版された富川吟雪『朝比奈島渡』にも長臂人の姿が見られ、主人公が手長じまと呼ばれるこの異国の地にたどり着く様子が描かれています。不思議な力を持つ手を使い、橋を作る場面が印象的です。

また、遊谷子の『異国奇談和荘兵衛』後編では、長足国に登場する手長島の住民たちが描かれ、彼らの歩行が遅く、他の人に背負われている様子がユーモラスに表現されています。これは、長臂人の特異な身体的特徴がどのように物語に活かされているかを示しています。

## 結論

長臂人は、そのユニークな身体的特徴と伝説的な性質で、古代の中国における自然との関係を象徴する存在でした。また、日本の文化にも深く浸透し、さまざまな作品に影響を与えました。一見異なる文化圏においても、彼らの物語は新たな意味を持ち、時代を超えて語り継がれています。

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