長谷川政美

長谷川政美

長谷川政美（はせがわ まさみ、1944年3月12日 - ）は、日本の著名な遺伝学者、進化生物学者です。統計数理研究所名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授という肩書を持ち、その研究は多岐にわたります。

生い立ちと学歴

長谷川氏は新潟県で生まれ、1966年に東北大学理学部物理学科を卒業しました。その後、名古屋大学大学院理学研究科を中途退学し、東京大学理学部助手（生物化学科）として研究の道に進みました。1973年には東京大学で理学博士号を取得しています。

研究活動

1975年、統計数理研究所に入所し、研究員、教授を歴任しました。1988年には総合研究大学院大学の教授も兼任し、1999年からは東京大学大学院理学系研究科の教授も務めました。2005年には統計数理研究所予測発見戦略研究センター長に就任、2007年からは復旦大学生命科学学院教授、国立遺伝学研究所客員教授も務め、2008年には統計数理研究所ゲノム解析グループ特命教授となりました。

長谷川氏の主な貢献は、1980年代から1990年代にかけての、DNAの配列データから系統樹を推定するための統計学的な方法の発展です。この研究は、分子系統学の分野に大きな影響を与え、生物の進化の歴史を解明する上で不可欠なものとなりました。

受賞歴

長谷川氏の研究業績は高く評価されており、数々の賞を受賞しています。1993年には『遺伝子が語る君たちの祖先』で日本科学読物賞、1999年には日本遺伝学会木原賞、2003年には日本統計学会賞、2005年には日本進化学会賞・木村資生記念学術賞を受賞しています。

著書

長谷川氏は、多くの著書を通じて、一般の人々にも進化生物学の面白さを伝えています。主な著書には以下のようなものがあります。

『DNAからみた人類の起原と進化 ― 分子人類学序説』（1984年）
『DNAに刻まれたヒトの歴史』（1991年）
『遺伝子が語る君たちの祖先 ― 分子人類学の誕生』（1992年）
『新図説動物の起源と進化 ― 書きかえられた系統樹』（2011年）
『僕たちの祖先をめぐる15億年の旅』（2014年）
『系統樹をさかのぼって見えてくる進化の歴史 ― 僕たちの祖先を探す15億年の旅』（2014年）
『進化の歴史 ― 時間と空間が織りなす生き物のタペストリー』（2017-2018年）
『マダガスカル島の自然史 ― 分子系統学が解き明かした巨鳥進化の謎』（2018年）
『世界でいちばん素敵な進化の教室』（監修）（2019年）
『ウンチ学博士のうんちく』（2019年）
『共生微生物からみた新しい進化学』（2020年）
『進化38億年の偶然と必然 ― 生命の多様性はどのようにして生まれたか』（2020年）
『ウイルスという存在 ― ヒトの進化にどうかかわってきたのか』（2020-2021年）
『激ヨワ人類史』（監修）（2021年）
『人類が滅ぼした動物の図鑑』（監修）（2021年）
『進化の目で見る生き物たち』（2021-2022年）
『すべての生き物をめぐる100の系統樹』（2022年-）
『ウイルスとは何か』（2023年）


これらの著書は、分子人類学や進化生物学の入門書としても、専門的な研究書としても価値が高く、多くの読者に支持されています。

その他の活動

長谷川氏は、研究活動以外にも、一般向けの講演会や科学系ウェブサイトでの連載など、科学知識の普及にも力を入れています。また、『系統樹マンダラ・シリーズ』の監修も務めるなど、その活動は多岐にわたります。

まとめ

長谷川政美氏は、遺伝学、進化生物学の分野で顕著な業績を上げているだけでなく、その研究成果を一般にも分かりやすく伝えることに貢献している、日本の科学界を代表する人物の一人です。

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