長谷部照俉

長谷部照俉について

長谷部照俉（はせべ しょうご）は、1881年（明治14年）9月28日に生まれ、1953年（昭和28年）4月29日に没した、日本の陸軍軍人です。最終階級は陸軍少将です。

生い立ちと教育

埼玉県出身の長谷部は、刀鍛冶を家業とする家庭に生まれましたが、明治維新後の廃刀令により、家業は養蚕業に転換しました。長谷部は、東京陸軍地方幼年学校、中央幼年学校を経て、1903年（明治36年）11月に陸軍士官学校（15期）を卒業しました。翌年の1904年（明治37年）3月には歩兵少尉に任官し、歩兵第2連隊に配属されました。その後、1910年（明治43年）11月には陸軍大学校（22期）を卒業し、軍人としてのキャリアを積んでいきました。

軍歴

1911年（明治44年）12月、長谷部は歩兵大尉に昇進し、歩兵第2連隊の中隊長に着任しました。その後、陸軍士官学校の教官を務め、1913年（大正2年）3月には東京外国語学校露西亜語専修科を修了し、語学力を磨きました。同年12月にはロシアへ留学し、1914年（大正3年）9月にはロシア軍に従軍しました。帰国後の1917年（大正6年）4月には参謀本部員に転じ、1918年（大正7年）6月には歩兵少佐に進みました。1919年（大正8年）3月まで浦塩派遣軍参謀としてシベリア出兵に参加しました。1920年（大正9年）5月には歩兵第41連隊大隊長に就任し、1922年（大正11年）8月には歩兵中佐に昇進、第5師団参謀に就任しました。

その後、支那駐屯軍参謀を経て、1925年（大正14年）8月には第16師団司令部付として京都帝国大学に服務（配属将校）しました。1926年（大正15年）3月には歩兵大佐に進んでいます。1927年（昭和2年）5月には歩兵第37連隊長に就任し、1931年（昭和6年）8月には陸軍少将に進級、歩兵第3旅団長として満州事変に出動しました。1934年（昭和9年）3月に待命となり、同月、予備役に編入されました。

その後

予備役編入後は、南満州鉄道嘱託として活動しました。墓所は東京都府中市にある多磨霊園です。

栄典

長谷部は、軍人としての功績により、以下の位階と勲章を授与されています。

位階
1904年（明治37年）5月17日 - 正八位
1905年（明治38年）8月18日 - 従七位
1910年（明治43年）9月30日 - 正七位
1915年（大正4年）10月30日 - 従六位
1920年（大正9年）11月30日 - 正六位
1931年（昭和6年）2月2日 - 正五位
勲章
1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

著書

長谷部は、軍務の傍ら、著述活動も行っており、以下の著書を出版しています。

『旬刊 講演集 NO.455、第15巻、第5号、ソ連邦を中心とする国際情勢』東京講演同好会、1937年。
『四股をふむロシヤの今昔』改造社、1939年。
『動乱欧州を衝く : 独乙の欧洲新秩序建設』誠文堂新光社、1941年。

親族

長谷部家は、父方の祖父である長谷部十七吉から続く家系です。長谷部の実父は坂本家から養子に入った万作です。長谷部の妻は喜代で、息子に照正がいます。長谷部の親族は、多磨霊園に眠っています。

生家（長谷部家）
実父: 万作（坂本家 1852-1933）、墓所: 埼玉県本庄市本庄 大正院
実母: はん（1859-1933）、大正院
坂本家
祖父: 坂本徳三郎（1820-1889）
祖母: 茂登（1824-1898）
長男: 藤太郎
長女: ぬい
長谷部家
祖父: 長谷部十七吉（1819-1899）
祖母: ヨネ（1829-1892）
本人: 照俉、墓所: 東京都府中市 多磨霊園
妻: 喜代（関谷家 1890-1983）、多磨霊園
長男: 照正（1910-2006）、多磨霊園
長男妻: 米子（馬場家 1914-2008）、多磨霊園
長女: 操（1912-1945）、多磨霊園
義父: 関谷銘二郎（陸軍大佐）

参考文献

長谷部照正『わが家の小史』増補版、1997年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
福川秀樹『日本陸軍将官辞典』芙蓉書房出版、2001年。
* 外山操編『陸海軍将官人事総覧 陸軍篇』芙蓉書房出版、1981年。

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