長野県立歴史館

長野県立歴史館は、長野県千曲市の科野の里歴史公園内に位置する公立の博物館です。この施設は、単なる博物館としての役割だけでなく、文書館や考古館としての機能も併せ持っています。館内では、長野県内の個人や団体から寄贈・寄託された古文書や、県が作成した行政文書が公開されています。また、県内の高速道路や新幹線建設に伴う発掘調査で出土した考古資料も、整理・報告書発行後に移管され、展示されています。

館内には、展示資料が2,301点、図書が119,736冊、考古資料が29,204箱、文献史料が291,848点（平成26年度時点）収蔵されており、その豊富なコレクションは、長野県の歴史と文化を深く理解するための重要な資源となっています。

沿革

長野県立歴史館は、1988年の第二次長野県総合計画に基づき、1990年に建設基本構想が決定し、1992年から建設が開始されました。そして、1994年11月3日（文化の日）に開館しました。開館当初は、総合情報、考古資料、文献史料の3部門から構成され、初の企画展として「赤い土器のクニ 弥生時代の千曲川流域の土器」が開催されました。

展示

休館日は月曜日、祝日の翌日、年末年始です。館内1階には、受付とミュージアムショップ、講堂、長野県人権啓発センターがあります。受付の奥には、縄文の森、万葉の野、中世の林をテーマにした屋外展示が広がっています。2階には、閲覧室（図書室、館外持ち出し不可、有料コピー可能）と企画展示室（有料）、そして常設展示室があります。

常設展示室（有料）は、原始、古代、中世、近世、近現代の各時代に分かれており、長野県の歴史を時代ごとに深く掘り下げて学ぶことができます。

指定文化財

長野県立歴史館は、以下の重要な文化財を所蔵しています。

鳥羽院庁下文（とばいんのちょうくだしぶみ）天養二年七月九日（1145年）：鳥羽上皇の院庁が荘園の管理権を裁定した文書で、信濃国小河荘（現在の小川村近辺）の現地管理者（預所）増證に下されました。現存する院庁下文の中でも最も古い例であり、東日本で唯一の原本として古文書学的に非常に価値が高いとされています。
長野県吉田川西遺跡土壙出土品（ながのけんよしだかわにしいせきどこうしゅつどひん）平安時代：塩尻市の田川と奈良井川に挟まれた地域に位置する遺跡から出土したもので、平安時代中葉の土坑墓から、緑釉陶器の椀皿、鏡、多数の土師質皿が出土しました。
日向林B遺跡出土品（ひなたばやしBいせきしゅつどひん）旧石器時代：信濃町の野尻湖遺跡群の一つである日向林B遺跡は、上信越自動車道建設に伴い発掘調査が行われました。旧石器時代（約3万年前）の局部磨製石斧60点、台形石器59点を含む多数の石器、石器製作の過程を示す接合資料、そして局部磨製石斧を磨いた砥石などの石器製作用具の一括資料が出土しました。

アクセス

しなの鉄道・屋代駅または屋代高校前駅から千曲市循環バス「科野の里歴史公園」バス停下車。
長野自動車道・更埴インターチェンジから車で約5分。

周辺

周辺には、あんずの里、屋代城跡（一重山）、有明山などの観光スポットがあります。

脚注

参考文献
長野県立歴史館『展示案内』2005年
『長野県立歴史館年報』第17号
長井勉 『公文書館紀行 第二弾』丸善プラネット、2019年
関連項目
日本の博物館の一覧
公文書館
外部リンク
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