長野電鉄モハ130形電車

長野電鉄モハ130形電車

長野電鉄モハ130形電車は、長野電鉄がかつて運行していた制御電動車です。この電車は1926年に製造された東武鉄道のデハ3形が元となり、1947年に長野電鉄に譲渡されました。長野電鉄の吊り掛け駆動車両としては、唯一自動進段制御器を搭載していたため、通称「ディッカー車」と呼ばれていました。

製造と導入の背景

戦後の私鉄は、その車両の状態が非常に悪化しており、特に輸送力が急務でした。このため、1946年から運輸省が63系の電車を私鉄に割り当てることを決定しました。この割り当てに際して、各社は一定数の在籍車両を地方私鉄に供出するかたちが求められました。モハ130形もその一環で、1947年に長電に導入された3両が整備の後、モハ130形131から133として運用を開始しました。

機器の特性

本系列の床下機器は、東武在籍時と同様の「デッカーシステム」を採用していました。具体的には、電動カム軸式自動進段制御器やAMM自動空気ブレーキなどが搭載され、過去の車両とは互換性がありませんでした。そのため、他の車両との併結ができず、モハ130形同士での編成運用が基本となっていました。

今後の運用

モハ130形は、登場後すぐにモハ133が電装解除され、予備品の保持のためにクハ代用として使われました。1953年の車両形式付番制定時にはモハ400形401から403へと改称され、1956年にはモハ401が改造され他車との事項がさらに難しくなりました。これにより、モハ421は1967年にモハ410形411に改番されることになりました。各車両はそれぞれ異なる運用状況に応じて改番や改造が進められ、最終的にはモハ401（デッカー方式の自動進段制御器搭載）、モハ411（HL車へ改装）、クハ451（デッカー方式の制御車）という形に整理されました。

車両のデザイン

当初、モハ130形は製造時のデザインを保持していましたが、その後の運用においてモハ411が踏切事故で損傷した際、復旧の際に貫通扉が埋め込まれて非貫通構造に変更されました。この変更により、中央窓の形状も他の窓と異なる高さとなってしまいました。また、モハ401やクハ451も非貫通化され、形状が統一されていきました。

最終的な運命

長野電鉄モハ130形は、全車手動扉で、抑速発電制動も装備していなかったため、河東線専用として使用される位置付けがありました。また、他車両で行われていた鋼製扉への改造も行われることなく、木製扉のままで運用され続けました。長野電鉄のほかの車両が早期に廃車となる中、モハ130形は比較的長く運用されましたが、各部の老朽化と、長野 - 善光寺下間の地下化工事に関連して車両代替が決定されました。1977年10月、最後の運行が行われ、ヘッドマーク「さようならディッカー」を掲げて運転され、同年に廃車解体されました。

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