長野電鉄500形電気機関車

長野電鉄500形電気機関車

長野電鉄500形電気機関車は、1927年から1928年にかけて製造された直流電気機関車であり、同社の貨物列車の動力を近代化する目的で新設されました。製造は日立製作所によって行われ、最初に501号が1927年5月、続いて502号が同年10月に完成し、503号は1928年8月に完成しました。この形式は、鉄道省が1926年に製造したED15形電気機関車を基に設計されています。

設計の特徴

500形はED15形と同じく箱形の車体を持ちますが、自重は50トン級のED15形と比較してかなり軽量で、36.27トンです。主電動機の出力やサイズにおいてもED15形とは異なる点があり、よりコンパクトな設計となっています。このため、500形は貨物列車の牽引のみならず、特定の用途にも対応可能な特性を持っていました。

運用の変遷

後の改番により、この機関車はED5000形に改名され、ED5001からED5003として知られることになります。500形の運用は多岐に亘り、貨物列車の牽引に加え、スキーシーズンにおける日本国有鉄道からの直通列車の牽引にも使用されました。しかし、1969年に定山渓鉄道線が廃止されると、500形の一部が余剰となり、1970年にはED5002とED5003が廃車され、越後交通に譲渡されました。

その後、ED5001は長野電鉄の中で唯一残存し、主に予備機として待機していましたが、1979年には長野電鉄の貨物営業が廃止される伴い、その使用用途は限られたものとなりました。除雪作業や入れ替え作業にも使われたこの機関車は、最終的には車両輸送が主な役割となり、さらにはイベント運転にも利用されることがありました。2002年3月の須坂と信濃川田間の廃車車両回送を最後に、運用が終わりました。

除籍後の運命

機関車はその後、長電テクニカルサービスにて須坂駅の入れ替え作業に使用されましたが、2017年にお別れ会が催されたのを機に、解体される運命を迎えました。

越後交通への譲渡

越後交通に譲渡されたED5002とED5003は改造を受けED510形として再名付けられ、同社の長岡線で貨物列車を牽引しました。しかし、1980年に余剰となり、間もなく廃車されました。ED512は現地で解体されたものの、ED511は保存のために長野電鉄に戻され、小布施駅に静態保存されました。この車両は旧番号502への復元作業が行われたものの、原形には戻っていない箇所も残されています。

現在の状況

ED511は静態保存の後、信濃川田駅を経て2015年以降は直富商事によって保存されており、500形の中で唯一現存する機体となっています。これにより、長野電鉄500形の歴史の一端が次世代に引き継がれているのです。長野電鉄500形電気機関車は、鉄道の歴史において重要な役割を果たした一台として記憶されています。

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