閃マンガン鉱

閃マンガン鉱：性質と特徴

閃マンガン鉱(せんマンガンこう)、別名アラバンド鉱、または硫マンガン鉱として知られるこの鉱物は、マンガンの硫化鉱物です。その名は、トルコのアラバンダ地方で最初に発見されたことに由来する英名Alabanditeから来ています。

マンガン鉱山では一般的な鉱物であり、しばしば菱マンガン鉱やばら輝石といった他の鉱物と共に見られます。その化学組成はMnSで、等軸晶系に属します。結晶形状は立方体や八面体、あるいは塊状で産出され、{001}面に沿って完全なへき開を示すのが特徴です。モース硬度は3.5と比較的柔らかく、比重は約4です。

肉眼では黒色から鉄黒色に見え、亜金属光沢を呈しています。特徴的なのは、その条痕の色が暗緑色である点です。粉末にするとニンニクに似た独特の悪臭を発することでも知られています。

しかし、閃マンガン鉱の最も顕著な特徴は、その酸化されやすさです。空気中に放置すると、すぐに光沢を失い、二酸化マンガンの影響でくすんだ褐色へと変化していきます。この酸化しやすい性質から、近年では閃マンガン鉱よりもアラバンド鉱という名称の方が一般的に使われるようになっています。

閃マンガン鉱は、地質学や鉱物学の研究において重要な役割を果たしています。その産状や共存鉱物から、鉱床の形成過程や地質環境を推定する手がかりとなります。また、マンガン鉱石としての利用価値も持ち合わせていますが、酸化しやすい性質を考慮した処理が必要です。

関連情報

鉱物: 閃マンガン鉱は硫化鉱物に分類されます。
関連鉱物: 菱マンガン鉱、ばら輝石
化学組成: MnS
結晶系: 等軸晶系
モース硬度: 3.5
比重: 約4
色: 黒色～鉄黒色
光沢: 亜金属光沢
条痕: 暗緑色
その他: ニンニクのような悪臭、酸化しやすい

参考文献

豊遙秋・青木正博　『検索入門 鉱物・岩石』　保育社、1996年、ISBN 4-586-31040-5
国立天文台編　『理科年表 平成19年』　丸善、2006年、ISBN 4-621-07763-5

参考ウェブサイト

Alabandite（mindat.org）
Alabandite Mineral Data（webmineral.com）

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