開高健賞

開高健賞について

開高健賞（かいこうたけししょう）は、作家・開高健を称える意味で1992年から2001年まで実施された日本の文学賞です。この賞は、開高健賞運営委員会とTBSブリタニカ（現在は阪急コミュニケーションズ）の共同で運営されました。受賞対象作品には、文学様式に対する制約を設けず、フィクションやノンフィクション、さらには評伝まで幅広く含まれていました。特に、創造的な人間洞察に富んだ作品が求められ、これに伴って、冒険心やユーモアが表現された内容が望ましいとされていました。

歴代の受賞作

開高健賞の受賞作は年ごとに異なり、多くの作品が奨励賞としても取り上げられました。第1回の1992年には受賞作が決定されず、奨励賞として小林照幸の『毒蛇』が選ばれました。続く1993年、1994年でも受賞はなく、奨励賞としてさまざまな優秀な作品が紹介されました。

• - 第2回（1993年）: 永山彦三郎の『夜明けの口笛吹き』や小沢章友の『遊民爺さん』が奨励賞を受賞。
• - 第3回（1994年）: 加藤喬の『LT』、司城志朗の『ひとつぶの砂で砂漠を語れ』、福岡哲司の『深沢七郎ラプソディ』が奨励賞となりました。
• - 第4回（1995年）: 受賞作なしの中、細川布久子の『エチケット1994』が奨励賞に選出。
• - 第5回（1996年）: 渡辺利夫が『神経症の時代―わが内なる森田正馬』で受賞、吉岡逸夫『漂泊のルワンダ』が奨励賞に。
• - 第6回（1997年）: 永井義男が『算学奇人伝』で受賞し、岡崎がんの『トランス・アフリカン・レターズ』が奨励賞に。
• - 第7回（1998年）: 田村優之が『ゆらゆらと浮かんで消えていく王国に』で受賞。
• - 第8回（1999年）: 田澤拓也の『空と山のあいだ―岩木山遭難・大館鳳鳴高生の五日間』が受賞。
• - 第9回（2000年）: 大山史朗が『山谷崖っぷち日記』で受賞し、曽我部司の『ホッケー69―チェコと政治とスポーツと』が奨励賞に。
• - 第10回（2001年）: 藤本恵子が『築地にひびく銅鑼―小説丸山定夫』で受賞。

選考委員

この賞の選考には、多くの著名な作家や評論家が関わりました。初回から第2回までの選考委員には、大宅映子、奥本大三郎、椎名誠、立松和平、谷沢永一、C・W・ニコル、そして向井敏が名を連ねました。第3回から第5回には大岡玲、荻野アンナ、川本三郎、髙樹のぶ子も加わり、選考が行われました。最終年の第9回と第10回では、奥本大三郎、川本三郎、佐野眞一、高樹のぶ子が選考に携わりました。

総括

開高健賞は非常にユニークな文学賞で、文学の可能性を広げるべく様々な作品が評価されてきました。開高健の名はその後も集英社が主催する「開高健ノンフィクション賞」に引き継がれ、現在でも彼の業績を称える活動が続いています。文学の新たな地平を切り開いたこの賞の存在は、著者たちに新しい挑戦とインスピレーションを与えました。

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