間宮士信

間宮士信（まみや ことのぶ）は、江戸時代後期の旗本であり、地理学者として名を馳せました。安永6年（1777年）に生まれ、天保12年（1841年）に65歳で没しています。初名は信民、号は白水と称しました。通称は、初め総次郎でしたが、父である間宮公信の死後、その名を継ぎ庄五郎と名乗りました。間宮綱信の長男である間宮正重の子孫にあたります。

士信は22歳の時、父の死によって家督を継ぎました。松平定信が主導した寛政の改革における文教政策の振興に伴い、文化7年（1810年）、大学頭であった林述斎によって、昌平坂学問所内に諸国の地誌編纂を目的とした地誌取調所が設置されると、その一員として迎えられました。この地誌取調所は、諸国の地誌を素材とした「日本総志」の編纂も目的としていました。

士信は、この地誌取調所において、『新編武蔵風土記稿』や『新編相模国風土記稿』の編纂に深く関わりました。その功績が認められ、2年後には頭取に昇進、文政2年（1819年）には最高責任者である総裁に就任しました。彼は、地誌編纂の中心的役割を担い、天保元年（1830年）には、21年の歳月をかけて『新編武蔵風土記稿』を完成させました。また、その他にも『小田原編年録』や、諸国地誌の解題目録である『編脩地誌備用典籍解題』、『古今感状集』など、数多くの著作を著しました。

一連の功績により、天保2年（1831年）には、従来の西丸小姓組二番組から同三番組に移り、その与頭に抜擢されました。これは、彼の功績が幕府内で高く評価されていたことを示しています。

間宮家の墓所は上野谷中の長明寺にありますが、士信は遺言により、所領内にある下総国千葉郡高津村（現在の千葉県八千代市）の観音寺に葬られました。これは、彼が自らのルーツや領地に対する深い愛着を持っていたことを示唆しています。

間宮士信は、その生涯を通じて、日本の地理学の発展に大きく貢献しました。彼の業績は、後世の研究者たちに貴重な資料を提供し、日本の歴史や文化を理解する上で欠かせないものとなっています。彼の編纂した地誌は、単なる地理的な記録に留まらず、当時の社会や文化、人々の暮らしぶりを今に伝える貴重な資料となっています。

士信の地道な努力と、卓越した才能がなければ、これほどの成果は得られなかったでしょう。彼の功績は、日本の地理学史において、永遠に語り継がれるべきものです。

もう一度検索