間島問題

間島問題の概要

間島問題（かんとうもんだい）は、中国吉林省の東南部、豆満江北側に位置する間島地域の領有権や関連する諸問題を指します。特に20世紀前半、日本にとって重要な軍事・外交の焦点の一つでした。

歴史的背景

間島は、満州と朝鮮が接する国境地域に位置し、清朝の時代には、同地域に対する外国からの移住が禁止される「封禁」が1712年に施行されました。しかし、その後、多くの朝鮮人が李氏朝鮮の統治下の朝鮮半島から間島に移住し、開拓を行いました。清朝は1882年に漢民族の移住を認めたため、朝鮮人の土地所有権に関する対立が生じ始めました。清朝と李氏朝鮮の間で領有権が争われ、その後のロシア帝国や日本の進出がこの問題をさらに複雑にしました。

日本の進出と合意

1907年、日本は朝鮮人が多く住む間島の竜井村に警察を派遣し、治安維持を名目に派出所を設けました。これは清朝の反発を呼びましたが、1909年に締結された間島協約によって、日本側は清側に間島の領有権を認める代わりに、朝鮮人の土地所有権などを獲得しました。これにより、間島に日本の総領事館が設立され、1910年の日韓併合により日本と清は国境で隣接することになります。

紛争の激化

1915年、日本が対華21ヶ条要求を行い、南満東蒙条約が締結されましたが、この内容が間島協約の合意を無視していると中国側は反発。朝鮮人の独立運動が盛り上がる中、1920年には日本軍が間島に出兵する事態となります。このころ、中国側では朝鮮人に対する弾圧が強化され、地域内のナショナリズムが高まっていきました。1930年、独立運動を展開する朝鮮人たちが武装蜂起を起こし、立憲政友会の松岡洋右が日本政府の外交政策を非難する演説を行うなど、日本でも議論が巻き起こりました。

満州事変とその後

1931年9月、満州事変が勃発し、間島を含む満州全域が日本軍によって占領されました。これにより、間島問題は一時的に「力による解決」で収束したように見えます。1932年に成立した満州国では、間島の裁判権などが日本側に帰属していましたが、1934年には間島省が設置され、1937年には治外法権が撤廃されました。最終的に、1938年には日本の領事館も閉鎖され、間島問題は新たな形で歴史に位置づけられることとなりました。

この問題は、朝鮮半島と満州の複雑な歴史的背景を反映しており、その後の日中関係や日韓関係に与えた影響は今もなお重要なテーマです。

もう一度検索