関内駅前港町地区

関内駅前港町地区再開発

関内駅前港町地区（かんないえきまえみなとちょうちく）は、神奈川県横浜市中区の中心部に位置する大規模な都市再生プロジェクトです。この計画は、長年にわたり地域の拠点となってきたエリアの老朽化したビルを建て替え、現代的な都市機能と魅力あふれる空間を創出することを目的としています。

計画の背景と経緯

この再開発の対象となる街区は、中区の港町、真砂町、尾上町（いずれも2丁目）にまたがっています。このエリアには、かつて関内駅前第一・第二ビルや関内中央ビル、横浜関内ビルといった中規模のオフィスビルが立ち並んでいました。しかし、これらの建物の多くは1970年代後半頃に建設されたもので、築年数を経て設備の更新や耐震性能の向上が求められる状況でした。

また、これらのビルには、横浜市役所の部署の一部が入居していましたが、2020年に北仲通地区に新しい市庁舎が完成し、機能が移転したことで、多くのオフィス空間が空室となりました。この状況は、横浜の中心市街地である関内地区全体の活力を維持・向上させる上で課題となり、新たなまちづくりの必要性が高まりました。

こうした背景を受け、地域活性化を目指す動きとして、2018年には市街地再開発に向けた準備組合が設立され、地区の将来像に関する具体的な検討が進められてきました。

計画の内容

本再開発計画は、三菱地所を代表とする再開発組合（スターツコーポレーション、フジタ、ケン・コーポレーション、東急不動産、三菱地所レジデンスなどが参加）が主体となって推進しています。計画では、この地区に地上32階、地下2階建て、高さ約170メートルの高層複合ビルを建設する構想です。

ビルの中心的な機能はオフィスとなりますが、高層部には住宅（賃貸マンション）も併設される予定です。これにより、職住近接の新しい都市生活スタイルを支援します。さらに、文化交流の拠点としてミュージアムや、横浜港などを一望できる展望施設といった公共性・回遊性を高める施設の整備も計画されており、多様な人々が集まる賑わいのある空間づくりを目指しています。

また、本計画は単体ではなく、周辺で同時に進行する再開発プロジェクトとの連携も重視されています。特に、同じく三菱地所が主導する関内駅前北口地区の再開発や、旧市庁舎跡地に建設される「BASEGATE横浜関内」とは、ペデストリアンデッキなどでスムーズに行き来できるよう、接続性の向上が構想されています。これにより、関内駅周辺全体が一体的な都市空間として機能し、回遊性の高いエリアとなることが期待されます。

スケジュール

本計画は、隣接する関内駅前北口地区と共に「関内駅前地区第一種市街地再開発事業」として、2024年 5月24日に都市計画決定されました。その後、2025年 4月25日には横浜市から再開発組合の設立が正式に認可され、事業推進体制が確立しました。今後、2026年度の新築工事着工、そして2029年度の建物完成を目指して、工事が進められる計画です。

この再開発により、関内駅前港町地区は、老朽化したビル街から、多様な機能を持つ高層複合ビルを中心とした新たなランドマークへと生まれ変わります。これは、関内地区全体の活性化と魅力向上に大きく寄与するものと期待されています。

関内駅前港町地区