関東学院女子短期大学

関東学院女子短期大学は、神奈川県横浜市金沢区六浦町に位置していた私立短期大学です。学校法人関東学院によって運営され、1950年に「関東学院大学短期大学部」として設立されました。

概要と歴史

当初は男女共学の短期大学として4学科でスタートしましたが、1957年には「関東学院短期大学」と改称し、専攻科を設置します。その後、国文科の増設などを経て、1967年に関東学院女子短期大学となり、女子のみの教育機関となりました。家政科の専攻分離、幼児教育科、経営情報科の増設など、時代に合わせて学科体制を拡充・再編し、最終的には5学科（うち1学科3専攻）体制となります。しかし、時代の流れとともに学生募集を2001年度で終了し、2004年9月30日をもって正式に廃止されました。その機能の一部は、系列の関東学院大学に引き継がれました。

建学の精神と教育理念

本学のルーツは、1884年に創立された横浜バプテスト神学校にあります。キリスト教信仰を基盤とした教育を重視し、「人になれ、奉仕せよ」を学訓として掲げていました。カリキュラムには「キリスト教概論」や「キリスト教文化」といった宗教関連科目が含まれており、単なる知識習得にとどまらない全人的な教育を目指していました。幼児教育科では附属幼稚園での実践的な実習が行われ、家政科食物栄養専攻では栄養士として必要な知識と技術を修得できるなど、専門職の養成にも力を入れていました。

学風と特色

キリスト教精神に基づき、幅広い教養と専門スキルを身につけ、社会に貢献できる女性の育成を目標としていました。学生生活においては、伊豆の天城山荘で行われる「リトリート」が恒例の重要な行事となっていました。また、希望者にはカナダ、イギリス、アメリカなどへの海外研修の機会も提供され、国際的な視野を広げることを奨励していました。設立当初の英文科第二部、経済科、工科などには、男子学生も在籍していた時期があります。

組織と学びの分野

廃止時には以下の学科が置かれていました。

• - 英文科（第一部、第二部）
• - 国文科
• - 家政科（家政専攻、生活文化専攻、食物栄養専攻）
• - 幼児教育科
• - 経営情報科

過去には経済科や工科も存在しました。さらに専門的な学びを深めるための専攻科（英語専攻、食物栄養専攻）も設置されていました。取得可能な資格としては、幼稚園教諭二種免許状、中学校教諭二種免許状（英語、国語、家庭、保健、職業）、司書、司書教諭、栄養士などがあり、多様な進路選択を支援していました。設立初期には高等学校教諭免許状の課程も存在しました。

施設と学生生活

キャンパスには、1984年に建設された図書館があり、約17万冊の図書を所蔵していました。その他、チャペルや学生向けのインターネットカフェなども整備されていました。学生寮として「ルツ寮」があり、自宅から通学が難しい学生をサポートしていました。クラブ活動やサークル活動も盛んで、体育系ではテニス、弓道、バドミントン、バレーボール、バスケットボールなどが、文化系では合唱、吹奏楽、美術などが活動していました。学園祭は「グリーンフェスティバル」と呼ばれ、例年11月に開催され、多くの学生や地域住民で賑わいました。

対外関係と系列校

国際交流協定に基づき、アメリカのフランクリン大学、カナダのオタワ大学やブリティッシュコロンビア大学、イギリスのオックスフォード大学マンスフィールド・カレッジなどとの間で海外研修プログラムが実施されていました。学校法人関東学院は幼稚園から大学院までを擁する総合学園であり、本学もその一員として、関東学院大学、関東学院中学校高等学校など多数の系列校とともに教育を展開していました。地域社会との連携として、公開講座なども開催していました。

卒業後の進路

卒業生の多くは、学んだ専門知識とスキルを活かして社会の様々な分野で活躍しました。一般企業への就職者が大半でしたが、食物栄養専攻の卒業生は栄養士として、幼児教育科の卒業生は幼稚園教諭や保育士として、専門職の道に進むケースが多く見られました。就職先は東芝、JFEエンジニアリング、日本酸素、富士通、オンワード樫山、積水ハウス、味の素、森永乳業、神奈川県、東京都、みずほコーポレート銀行など多岐にわたります。また、系列の関東学院大学だけでなく、東京経済大学、フェリス女学院大学、中央大学、日本大学、法政大学など、他大学への編入学を選択する学生も少なくありませんでした。卒業生の中には、ナレーターの中村啓子さん、女優の常盤貴子さんなど、様々な分野で著名になった方々がいます。

半世紀以上にわたる関東学院女子短期大学の歴史は幕を閉じましたが、そこで培われた教育の精神と、巣立った多くの卒業生たちの活躍は、今も社会の中で受け継がれています。

もう一度検索