閻珍

閻珍（えん ちん）

閻珍（生没年不詳）は、金朝末期からモンゴル帝国初期にかけて活躍した人物です。字は載之、もとの名は輪。潞州上党県（現在の山西省長治市）の出身で、父は閻謹。

『元史』には立伝されていませんが、『遺山先生文集』巻29の「故帥閻侯墓表」にその事績が記されており、『新元史』にはこの墓表を元にした列伝が収録されています。

生涯

閻珍は幼い頃から学問を好み、金朝に仕えて公府掾という官職に就いていました。しかし、金朝末期にモンゴル軍の侵攻が激化し、華北地方は荒廃。金朝の将軍である張開が馬武寨に駐屯し、その配下の李松が閻珍の住む潞州方面に派遣されていました。

1222年3月、東平地方を拠点にモンゴルに降伏し、強大な軍閥を築いていた厳実が潞州方面に侵攻してきます。張開らはこれを恐れて逃亡。そこで、地元の有力者たちは閻珍をリーダーとして推戴し、城ごと厳実の勢力に降伏することを決断しました。これを受けて厳実は閻珍に宣武将軍・潞州招撫使の地位を与え、自らの配下に加えます。

厳実に仕えてしばらくすると、閻珍が民衆から不正に金銭を巻き上げているという讒言が厳実の耳に入ります。厳実が閻珍を呼び出して事情を尋ねると、閻珍は朱墨を用いて収支を明瞭に説明しました。このことに感心した厳実は、閻珍に改めて懐遠大将軍・元帥左監軍・兼同知昭義軍節度使事の地位を授けたといいます。その後、更に輔国上将軍・左副元帥・昭義軍節度使の地位を与えられ、数千の兵を率いて潞州を守備しました。

この頃、一度モンゴルに降伏した武仙が裏切り、再び金朝に帰順しようと画策します。閻珍は捕らえられて馬武寨に送られましたが、後に救出されました。事情を知った厳実は閻珍を許して処罰しませんでしたが、閻珍は河南に左遷されてしまいます。その後、閻珍は再び厳実に仕えるようになりましたが、57歳で亡くなりました。

参考文献

『新元史』巻137列伝34閻珍伝
『遺山先生文集』巻29故帥閻侯墓表

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