新人会

新人会の歴史と活動

新人会（しんじんかい）は、戦前の日本において重要な学生運動団体であり、東京帝国大学を中心に活動を行っていました。1918年12月に設立され、1929年11月に解散するまでの約11年間、約360名の会員が在籍し、日本の学生運動の中核を成しました。

組織と活動

新人会は、創立から1921年までの「前期新人会」と、その後の「後期新人会」に分かれます。前期の活動は、人道主義や理想主義を基にした啓蒙活動に注力し、学生だけでなく卒業生や学外の労働者も会員として受け入れました。これにより、合法的な無産政党や労働運動、農民運動の指導者が輩出され、多くの専門職に進む者もいました。一方、後期新人会は、東京帝大の学生大衆を組織対象とし、強固な学内基盤を持ち、特に日本共産党の再建後はその下部組織として活動を展開しました。

創立の背景と沿革

新人会の設立は、第一次世界大戦を背景にした民衆運動の高まりに影響されました。1918年10月に京大の労学会との共同演説会や、吉野作造との演説会が契機となり、同年12月に新人会が正式に発足しました。会の綱領には、「人類解放の新気運に協調し、現代日本の合理的改造運動に従う」という理念が掲げられました。この時期の活動としては、社会主義思想の啓蒙や、普通選挙運動への参加が挙げられます。

また、1919年には「新人セルロイド工組合」を設立し、労働運動との関係を深めました。しかし、1921年11月には「在学生のみの団体」に改組され、前期新人会の活動は終焉を迎えます。この改組は、当時の社会運動の発展に伴うものでもありました。

後期新人会は、学内活動や研究会を中心とし、1922年には全国的な学生運動の中核をなす学生連合会（学連）の設立にも関与しました。1926年には日本共産党が再建され、その後新人会は事実上の下部組織となり、活動家の供給源としての役割を果たしました。

解散と歴史的意義

1928年に発生した三・一五事件をきっかけに、東大当局は新人会の解散を決議し、会は地下活動へ入ります。最終的に1929年11月に公式に解散し、日本共産青年同盟へと移行しました。

新人会の歴史的意義は、特に1920年代から1930年代にかけて、知識人層に社会主義やマルクス主義を広めた点にあります。当時の社会主義者が持たれていた偏見を払拭し、東京帝大から社会運動家が活躍することで、社会主義者の社会的地位を向上させる役割を果たしました。

また、新人会からは戦後にわたり多くの政治的指導者が生まれ、右派から左派に至る広範な影響を及ぼしました。このように新人会は、戦後の学生運動におけるエリート意識と啓蒙主義的な傾向の源流ともなり、以後の日本の社会運動に大きな影響を与えた図式が形成されました。

結語

新人会は、日本の学生運動史において重要な位置を占める団体であり、その活動や発展は、社会運動や政治活動の基盤を築く上で欠かせないものでした。

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