阪神3521形電車

阪神3521形電車

阪神3521形電車は、1966年に阪神電気鉄道が導入した優等列車用の電車で、赤胴車と呼ばれる急行系車両の一形式です。1960年代から1970年代初頭にかけての急行形車両の基本編成が5両編成であったため、7801・7901形をベースに奇数両数編成を組成可能な単独電動車として設計されました。

車種構成

1966年から1969年にかけて、12両が武庫川車両工業で製造されました。車両番号は3501形の続番ですが、発電ブレーキは搭載していません。奇数車は大阪向き、偶数車は神戸向きに設計されています。

車体・主要機器

昇圧前の1966年・1967年に製造された3521 - 3526の6両は、7801・7901形と同様に雨樋が外部に露出しており、パンタグラフも2基搭載していました。一方、昇圧後の1968年・1969年に製造された3527 - 3532の6両は、7861・7961形の増備車と同様に雨樋が車体に埋め込まれ、車体断面も変更されました。パンタグラフも新造時から運転台寄りの1基のみの搭載となっています。

電動車のみで構成されているため、主電動機の出力は60kWと小さくなっています。主電動機は1時間定格出力60kWの東洋電機製造製TDK-818-Aを4基装備し、主制御器は初期車の3521 - 3526がABFM-64-15-MAを、後期車の3527 - 3532がABFM-64-15-MBを搭載しました。

改造工事

昇圧改造

1967年の昇圧に際し、3521形の初期車両に対して昇圧改造が実施されました。2基搭載していたパンタグラフは1基が撤去されましたが、7801形・7861形とは異なり、3521形では連結面側が撤去され、運転台側が残されました。

冷房化改造

1973年から1974年にかけて、冷房化改造が行われました。パンタグラフは下枠交差式となり、連結面側に移設されました。冷房電源は自車に搭載せず、7801・7901形の01 - 12のユニットに110kVAの大容量MGを搭載し、同ユニットとの3両固定編成を組むようになりました。

3000系への改造

1983年から1989年にかけて、3521形と7801・7901形の3両編成は制御装置が界磁チョッパ制御に改造され、3000系に改番されました。この改造により、3521形は形式消滅しました。

編成表

1981年9月30日時点では、全車が7801・7901形との3両固定編成を組んでいました。

参考文献

阪神電車鉄道同好会「私鉄車両めぐり (157) 阪神電気鉄道」『鉄道ピクトリアル』1997年7月臨時増刊号、電気車研究会。180-207頁。
飯島巌・小林庄三・井上広和『復刻版 私鉄の車両21 阪神電気鉄道』ネコ・パブリッシング、2002年。
* 廣井恂一・井上広和『日本の私鉄12 阪神』保育社（カラーブックス）、1982年。

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