防府駅

防府駅：歴史と現代が交錯する交通拠点

防府駅（ほうふえき）は、山口県防府市戎町一丁目に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）山陽本線の駅です。この駅は、単なる通過点ではなく、地域の歴史と密接に結びついた、重要な交通拠点としての役割を果たしています。

歴史

防府駅の歴史は、1898年（明治31年）3月17日に山陽鉄道の三田尻駅（みたじりえき）として開業した時に遡ります。当初は徳山駅から延伸してきた山陽鉄道の終着駅であり、同時に三田尻機関庫が設置されるなど、鉄道輸送における重要な拠点でした。翌年には、国内初の食堂車連結の急行列車が京都駅間で運行を開始し、1900年には国内初の寝台列車が神戸駅間で運行を開始するなど、鉄道史においても特筆すべき出来事の舞台となりました。

その後、山陽鉄道が厚狭駅まで延伸したことにより途中駅となりましたが、1906年には山陽鉄道の国有化により官設鉄道の駅となり、1909年には線路名称制定に伴い山陽本線の所属となりました。

1914年には、駅と山口米屋町間での乗り合い自動車営業が開始され、1919年には防石鉄道が上和字駅まで開業するなど、交通網の拡大に貢献しました。また、1926年には富海駅から当駅まで、1930年には当駅から大道駅までが複線化され、輸送能力が向上しました。1931年には、省営バス（現在のJRバス）が全国で2番目の路線を山口との間で運行開始するなど、鉄道以外の交通手段も発展しました。

1962年には、駅名が防府駅（ほうふえき）に改称され、1963年にはコンクリート造2階建ての駅舎に改築されました。1965年にはみどりの窓口が営業を開始し、利便性が向上しました。

1975年からは、駅周辺の高架化事業が着手され、1993年10月29日には下り線が高架化され、新駅での営業が開始。1994年5月23日には高架駅舎が完成し、上り線も新駅に移りました。これにより、南北の市街地の一体化が図られ、駅の利便性も向上しました。

2008年には駅舎西側に商業施設がオープンし、2009年にはエレベーターが設置されましたが、同年には定期優等列車が全廃となりました。2022年にはみどりの窓口が営業を終了し、みどりの券売機プラスが稼働を開始し、2023年にはICカード「ICOCA」の利用が可能となりました。

鉄道唱歌と防府駅

1900年に作詞された鉄道唱歌第2集（山陽・九州篇）の25番の歌詞は、当時の終着駅であった三田尻駅を題材にしています。これは、当時の三田尻駅が山陽鉄道の重要な拠点であったことを示すエピソードです。

駅構造

現在の防府駅は、島式ホーム1面2線を有する高架駅です。駅構内にはみどりの券売機プラスが設置されています。駅の南北にはそれぞれ「てんじんぐち」と「みなとぐち」という愛称が付けられた出口があり、それぞれの地域の特性を反映しています。

高架化以前は、貨物設備も備えた2面4線の地上駅でした。国鉄時代には、保線区などの鉄道関連機関も設置され、当駅を始発・終着とする列車も運行されていました。しかし、1980年代には駅周辺の市街地化が進み、鉄道による市街地の分断や踏切問題が深刻化したため、高架化工事が行われました。

高架化に際し、貨物取扱業務は新設された防府貨物駅に移管され、専用線も廃止されました。

利用状況

1日の平均乗車人員は、近年は減少傾向にありますが、依然として多くの人々が利用しています。

駅周辺

駅周辺には、古くからの市街地である「てんじんぐち」側と、区画整理により開発が進んでいる「みなとぐち」側があります。「てんじんぐち」側には、銀行や公共施設、商業施設が立ち並び、「みなとぐち」側には、大型商業施設や教育機関が集積しています。

バス路線

駅には、7面のバスターミナルがあり、防長交通の市内線や中国JRバス（防長線）が乗り入れています。高速バスも発着しており、東京、大阪、広島、福岡などへのアクセスも可能です。

隣の駅

山陽本線では、富海駅と大道駅が隣接しています。

参考文献

• - 防府駅｜駅情報：JRおでかけネット - 西日本旅客鉄道
• - ほうふWeb歴史館 「三田尻駅」から「防府駅」へ - 防府市
• - ほうふWeb歴史館 山陽本線 - 防府市

防府駅は、地域の歴史と発展を象徴する駅であり、今後も交通拠点としての役割を担い続けるでしょう。

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