防石鉄道

防石鉄道株式会社の歴史と概要

防石鉄道株式会社（ぼうせきてつどう）は、1932年に設立され、かつて山口県防府市から佐波郡徳地町にかけて運行されていた鉄道の運営を行っていました。この会社は、周防地方と石見地方を結ぶ鉄道の建設を目指していましたが、多くの困難に直面し、最終的にはバス事業へとシフトすることとなります。以下では、防石鉄道の沿革や事情について詳しく見ていきます。

設立と初期の計画

防石鉄道の起源は、1912年にあたります。この年、三田尻（現・防府）から佐波郡柚野村（現在の山口市徳地町）までを結ぶ軽便[[鉄道]]の敷設が申請されました。発起人には才賀藤吉や小林信近といった当時の著名な事業家が名を連ねており、1914年には会社として正式に設立されました。会社設立後、いくつかのトラブルが発生したものの、1919年には三田尻 - 奈美間が開通し、さらに堀まで延伸されることとなりました。

資金調達の困難

しかし、建設にかかる費用は資本金を超え、借入金に頼る形に。1924年には140万円の返済が困難となり、債権者による強制執行が発生しました。社長の熊谷は責任を取り退任し、会社は競売にかけられる事態に陥りました。この危機に株主が救済を求めたことが影響し、なんとか競売は取り消される結果となりました。

国有化の試みとバス事業への転換

その後、一部の株主が鉄道大臣に対する買収請願を行いましたが、既存の山口線との競合を理由に国からの支援を得ることはできませんでした。このため、1933年にはバス事業を開始し、鉄道の運営からの転換が図られました。

1939年には鉄道運輸の廃止申請を行いましたが認可はされませんでした。最終的に1964年に全ての鉄道運営が終了し、バス事業が主力となりました。バス運行開始から数年後、会社は1992年に防長交通に吸収合併され、消滅します。

終焉とその後の保存

防石鉄道の急激な運行停止は、モータリゼーションの進行や労働力の変化による影響が大きかったとされます。廃線後、その路線跡の一部は県道となり、地域の生活路線として利用され続けています。現在では、防府駅近くにある「鉄道記念広場」に当時使用されていた蒸気機関車や客車が保存され、地域の歴史を感じる場となっています。

これらの経緯は、地域交通の変遷や経済の影響を浮き彫りにしており、当時の人々や労働環境の変化などを考える上でも非常に興味深いものです。他愛のない事業計画が、国の交通網の一端として形を成していた時代背景を伺い知ることができます。

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