防衛記念章

防衛記念章：自衛隊員の功績を称える栄誉の証

防衛記念章は、自衛隊員がその経歴や功績を記念して制服に着用する徽章です。勲章とは異なる自衛隊独自の栄誉であり、略綬（勲章の代わりに着用するリボン）に似た形状をしています。長方形で、横36ミリメートル、縦11ミリメートルという大きさです。

防衛記念章の概要

防衛記念章は、略綬のような形状をしているものの、それ自体が章となっています。そのため、自衛官の間では「グリコのおまけ」という愛称で呼ばれることもあります。

その着用規定は「防衛記念章の制式等に関する訓令（昭和56年防衛庁訓令第43号）」で定められています。常装、第1種礼装、第2種礼装、通常礼装の際に着用可能です。ただし、記念章単体では着用できず、専用の着用台（留めピン付きの連結金具）が必要となります。この着用台は、記念章の数に応じて個別に用意されます。また、外国勲章を受章した場合は、その略綬を防衛記念章と一緒に着用できます。

士気の高揚や魅力化対策の一環として、着用資格が発生するごとに1個の防衛記念章が配布されます（一部を除く）。2個目以降は、銀や金の桜花が追加され、初回受章時には1個用の着用台も配布されます。しかし、着用台の交換や追加購入は自費となります。

着用手続きは、陸上自衛隊では部隊長が管理する「防衛記念章着用資格記録簿」に記録され、「防衛記念章着用資格証」が交付されます。海上自衛隊も同様の手続きがとられます。着用資格者は、記念章を購入する際に資格証を提示する必要があります。

授与に関しては、中隊長以上の部隊長が裁量で決定し、定期表彰や災害派遣などの功績を称える際に授与されます。授与する部隊長の役職や階級によって、賞詞の区分も異なります。防衛記念章の調達は公募入札で行われています。

防衛記念章の沿革と外国との均衡

防衛記念章制度は、1982年（昭和57年）4月1日に創設されました。当時、旧軍経験者の中には戦前に受章した勲章・記章の略綬を着用する者もいましたが、戦後の叙勲基準では自衛官が現役中に叙勲されることはほとんどなくなり、従軍[[記章]]や記念章も発行されなくなっていました。一方、外国軍人、特に米軍は多数の記念章・従軍[[記章]]を着用しており、この外見上の均衡を取る必要性から、防衛記念章制度が設けられました。

制定当初は15種類でしたが、その後種類が増加し、2017年6月時点で48種類が存在します。特に、平成時代には自衛隊の活動領域拡大に伴い、訓令の改正が頻繁に行われ、授与対象も拡大されました。

当初は略綬のみでしたが、2014年度には一部の記念章に対応するメダルが制定され、2019年には防衛功労章も制定されました。外国軍隊では、正章と略綬を使い分けるのが一般的ですが、日本は略綬のみであるため、特にメスジャケット着用時にはリボンを着用しないのが通例となっています。

防衛記念章の着用資格

以下の自衛官が防衛記念章の着用資格を有します。

賞詞を授与された自衛官
表彰を受けた部隊等で当該表彰に係る業務に従事した自衛官
部隊の長の職その他の防衛大臣の定める職にあった自衛官
最先任上級曹長・先任伍長・准曹士先任の職にあった自衛官
防衛省本省内部部局、統合幕僚監部、情報本部、陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部、防衛装備庁、防衛監察本部などに勤務した自衛官
長期間勤務した自衛官（永年勤続章受章者）
外国で業務に従事した自衛官
国際貢献に関する業務に従事した自衛官
* 国の行事や運動競技会協力業務に従事した自衛官

防衛記念章の種類と複数受賞

防衛記念章には様々な種類があり、「防衛記念章の制式等に関する訓令」第4条別表第2に定められています。特別賞詞や第1級から第5級までの賞詞受賞者には防衛功労章も授与されます。

同種類の防衛記念章を複数受賞した場合は、中央に金または銀色の桜花をつけます。桜花の数は受賞数によって異なり、2009年の改定でその基準が変更されました。

脚注、参考文献、関連項目

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