阿伎留神社

阿伎留神社について

阿伎留神社（あきるじんじゃ）は、東京都あきる野市五日市に位置し、長い歴史を有する神社です。この場所は、開拓が始まった地域に設立されたとされ、「畔切」に由来する社名が意味する通り、この地で人々が集まり信仰を深めていたことを示しています。神社は元々は式内社であり、旧社格としては郷社に分類され、多摩郡の主要な神社の一つとされています。

概要

阿伎留神社は『延喜式』神名帳に記され、武蔵国多摩郡に名を連ねた数か所の座において筆頭として挙げられています。この神社の設立は1080余年の歴史を持ち、初代神主である土師連男塩が土着の神を祀ったことが起源と考えられています。また、古くからの信仰の対象であるこの神社には、天慶3年（940年）に藤原秀郷が大原野明神を勧請し、その後は「春日大明神」としても知られるようになりました。地元の人々からは「松原大明神」という名前で親しまれ、通称「松原さま」とも呼ばれています。

祭神

阿伎留神社で祀られている祭神は以下の4柱です。

• - 大物主神（おおものぬしのかみ）
• - 味耜高彦根神（あじすきたかひこねのかみ）
• - 建夷鳥神（たけひなとりのかみ）
• - 天児屋根命（あめのこやねのみこと）

これらの神々の中でも、特に味耜高彦根神が元来の祭神としての重要性が示唆されています。

歴史的背景

阿伎留神社の歴史は、開発が進められた地域と密接に関わっています。この神社は秋川の段丘に位置し、開発の象徴として地域の人々に崇められてきました。さらに、854年に記された『日本三代実録』には、阿伎留神社に対する官位の授与が記録されており、社の重要性を示す証拠とされています。鎌倉時代以降、源頼朝や足利尊氏、後北条氏などの武将たちからも崇敬を受け、寄進が行われました。江戸時代には徳川家康も社に対する寄進を行い、そこから現在に至るまで神社の意義と地位が確立されていきました。

明治時代に入ると、阿伎留神社は近代社格制度に基づき、郷社に昇格し、1907年には神饌幣帛料供進神社としても指定されました。

現在の境内

阿伎留神社の境内には、過去に大火があり社殿が再建された歴史があります。1830年に発生した五日市大火では社殿や末社が全て焼失しましたが、その後、資金を集めて再建が進められ、1888年に現在の本殿や拝殿が完成しました。社頭の整備も行われ、現在では大鳥居や神楽殿、社務所などが立ち並ぶ景観が広がっています。

祭事と文化財

阿伎留神社では年間を通じてさまざまな祭事が行われています。特に例大祭は「五日市祭」とも称されており、毎年9月28日から30日まで開催されます。この祭りでは、特製の六角神輿が街を練り歩き、多くの屋台が並び賑わいます。また、地元の文化財として重要な役割を果たしている「年中十二祭神事絵巻」や「懸仏」なども指定文化財として認識されています。

アクセス

阿伎留神社に訪れるには、JR東日本の武蔵五日市駅から徒歩約15分ほどの距離にあり、訪問しやすい立地にあります。神社は、長い歴史と深い信仰に支えられ、今も地元の人々に愛され続けています。

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