阿保神社

阿保神社は、大阪府松原市阿保に位置し、海泉池の北側に佇む由緒ある神社です。祭神として菅原道真公、阿保親王、市杵島姫命の三柱を祀り、地域の人々から崇敬を集めています。かつては村社として地域に根ざし、現在もその姿を伝えています。

境内には、樹齢数百年の大楠がそびえ立ち、特に、阿保親王お手植えと伝わる大くすの木は、幹周4.85メートル、樹高20メートルにも及ぶ巨木で、訪れる人々を圧倒します。この大楠は、松原市の市制施行60周年記念で発行された「まつばらいろはかるた」にも登場しています。他にも、夫婦楠や社務所横の楠など、複数のご神木が境内を彩ります。

阿保神社の創建は明確ではありませんが、社伝によれば本殿は慶長13年（1608年）に再建されたとされています。しかし、その棟札は現在所在不明となっており、詳細な記録も残されていません。阿保の地名はこの地に邸宅を構えていた阿保親王に由来し、本殿前には「史跡阿保親王住居址」の石碑が立っています。また、近くには阿保親王が農民のために築いたと伝わる稚児が池（親王池）もあります。

近代社格制度では村社に列せられ、明治時代から昭和時代にかけては、村相撲が盛んに行われ、阿保神社を含む複数の神社に土俵が設けられました。2022年1月には、約150年ぶりに大鳥居が建て替えられ、新たな姿を見せています。

境内には、本殿、拝殿、阿保親王社、厳島神社、社務所、遥拝所、手水舎などの施設が整っています。本殿は17世紀中頃に建てられたと考えられており、丹塗りの美しい一間社流造銅板葺の建物です。拝殿は天保13年（1842年）に再建され、格天井には48枚の花卉図が描かれています。この花卉図は江戸時代後期のものとみられ、現在、植物名の同定作業が進められています。阿保親王社は、かつて公垣内にあった阿保親王の御殿跡から合祀されたもので、拝殿の東側にあります。厳島神社は、1873年に合祀され、市杵島姫命を祀っています。

阿保神社は、松原市内の屯倉神社、柴籬神社、布忍神社、我堂八幡宮、そして東住吉区の阿麻美許曽神社と連携し、「開運松原六社参り」を行っています。この参拝コースは、各神社の個性を楽しみながら、開運を願うことができると人気を集めています。

アクセスは、近鉄南大阪線河内松原駅から北へ徒歩約15分です。歴史と自然が調和した阿保神社は、訪れる人々に安らぎを与え続けています。

参考文献

松原市史編さん委員会『松原市史 第1巻』松原市、1985年
『松原市史資料集第8号　壱村限取調調』松原市役所、1977年
松原市、島田暁『松原市史資料集 第9号 (松原市の考古誌)』松原市、1978年
井上正雄『大阪府全志　巻之四』清文堂出版、1922年
『大阪府の近世社寺建築』大阪府教育委員会文化財保護課、1987年
『松原歴史ウォーク　1北東コース』松原市、2015年
松原警察署編集委員会『松原警察署史 土地の歴史と人のくらし』松原警察署、1984年

外部リンク

公式ウェブサイト
阿保神社外観 - 文化遺産オンライン
阿保神社のくす - 文化遺産オンライン
* 阿保親王社・厳島神社 社殿 - 文化遺産オンライン

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