阿尾博政

阿尾博政：日台の架け橋となった元自衛官

阿尾博政（あお ひろまさ）は、1930年に生まれ、2023年12月17日に肺炎で逝去した元陸上自衛官です。彼は、NPO法人日台経済人の会名誉会長や一般社団法人白団顕彰会理事長などの要職を歴任し、日本と台湾の友好関係に大きく貢献しました。

経歴

富山県で生まれた阿尾は、1955年に陸上自衛隊幹部候補生学校に入学し、調査学校対心理情報課程で学びました。1963年には、陸上自衛隊幕僚監部第2部、いわゆる諜報部門に異動。その後、自衛隊を退官し、2000年にNPO法人日台経済人の会理事長に就任しました。2006年には台湾富山県人会の顧問、2010年には台湾フォルモサ日本人会の顧問にも就任し、台湾との関わりを深めていきました。2014年には一般財団法人白団顕彰会理事長に就任。2020年にはNPO法人日台経済人の会名誉会長に就任しています。

白団との関わり

阿尾博政は、中華民国に渡り諜報活動に従事したと自称していました。富田直亮が率いた白団が解散した後、富田の秘書を務め、富田の死後、白団の記録保存と日本-台湾の政治経済文化交流に尽力しました。

白団とは、第二次世界大戦後、中国国民党政府の要請により、日本軍の元将校たちが台湾に渡り、軍事顧問団として活動した組織です。彼らは、中国共産党との内戦に敗れ台湾に撤退した国民党軍に対し、軍事戦略や戦術、兵器の運用などについて指導を行いました。白団は、台湾の防衛体制の構築に大きく貢献したとされています。

阿尾は、白団の解散後、富田直亮の秘書として、その活動を支えました。富田の死後、白団の記録を保存し、その歴史を後世に伝えるとともに、日本と台湾の政治経済文化交流を促進するために、様々な活動を行いました。

日台経済人の会

阿尾は、NPO法人日台経済人の会の理事長として、日台間の経済交流を推進しました。彼は、両国の企業間のビジネスチャンスを創出し、投資や貿易の拡大に貢献しました。また、文化交流にも力を入れ、両国民間の相互理解を深めるための活動を積極的に行いました。

白団顕彰会

阿尾は、一般財団法人白団顕彰会の理事長として、白団の功績を顕彰し、その歴史を後世に伝えるための活動を行いました。彼は、白団の元メンバーやその遺族との交流を深め、白団に関する資料の収集や研究を支援しました。また、白団の活動を広く一般に知ってもらうための講演会や展示会などを開催しました。

著作

阿尾博政は、『自衛隊秘密諜報員～青桐の風に吹かれて』（講談社）を著し、自身の経験や白団に関する情報を発信しました。この本は、多くの読者に感銘を与え、日台関係への関心を高めるきっかけとなりました。

まとめ

阿尾博政は、元陸上自衛官として、また日台経済人の会や白団顕彰会の要職を通じて、日本と台湾の友好関係に大きく貢献した人物です。彼の功績は、両国の歴史に深く刻まれ、今後も長く語り継がれていくことでしょう。

享年93歳。

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