阿武隈 (軽巡洋艦)

軽巡洋艦阿武隈の概要

軽巡洋艦阿武隈（あぶくま）は、日本海軍の長良型巡洋艦の一隻であり、6番艦として1925年に就役しました。艦名は日本の阿武隈川に由来しています。阿武隈は5500トン型軽巡洋艦の一つで、建造は大正時代に多く行われました。艦名候補には水無瀬（みなせ）が含まれていましたが、最終的に阿武隈が選ばれました。

建造の背景

1921年12月に浦賀船渠で起工された阿武隈は、関東大震災の影響で建造が遅れました。進水は1923年3月で、艤装に入るも震災による工場の損害で建造が中断され、その結果、竣工までには2年以上の遅延が生じました。このような経緯から阿武隈は姉妹艦と比較しても特異な点が数多くあります。

1930年には軽巡洋艦北上との衝突事故により艦首が損傷し、その後の修理の際に艦首の形状がダブル・カーブ型に改修されました。この変更は阿武隈にのみ見られ、外観上の大きな特徴となりました。さらに1938年には太平洋戦争開戦前に唯一の魚雷兵装の強化を受け、酸素魚雷を使用可能となりました。これにより後方の連装発射管が四連装に変更されました。

初期の艦歴

阿武隈は1925年6月に第一艦隊第三戦隊に編入された後、様々な訓練や演習に参加しました。事件としては、1927年の美保関事件で救助活動を行ったことが挙げられます。また、1932年の第一次上海事変では揚子江の警備に従事し、1938年には酸素魚雷運用のための改修を受けます。

太平洋戦争への参加

太平洋戦争が始まると、阿武隈は南方作戦や後の北方作戦にも積極的に参加しました。特に1941年11月の真珠湾攻撃作戦においては、第一水雷戦隊の旗艦として出撃しました。1942年にはジャワ攻略作戦やインド洋作戦に従事し、北方においてはAQ攻略部隊としてアッツ島の作戦にも参加しました。

損傷と沈没

1944年10月のスリガオ海峡海戦で、阿武隈は敵の攻撃を受け、艦首に魚雷が命中。一度は撤退命令を受けましたが、その後、アメリカ軍の空襲に遭遇し、最終的には3日間の応急修理を経て、ダピタン沖で沈没しました。この戦闘では多くの兵士が犠牲になり、生存者は救助されました。沈没位置は北緯09度09分、東経121度54分で、1944年10月26日にその生涯を終えました。

おわりに

阿武隈はその独自の艦歴と多くの改修を経て進化した艦艇であり、太平洋戦争において重要な役割を果たしました。姉妹艦とは異なる特性を持ちながらも、日本海軍の一翼を担い続けました。この艦の歴史は、当時の日本海軍の技術や戦略を示す貴重な記録でもあります。

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