阿蘇惟将

阿蘇惟将（あそ これまさ）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した武将で、肥後国（現在の熊本県）の戦国大名でした。阿蘇神社の神官を務める家柄の出身です。

生涯

永正17年（1520年）に阿蘇惟豊の子として生まれました。

天文10年（1541年）、阿蘇氏の家臣であった御船城主・御船房行が、薩摩国（現在の鹿児島県）の島津氏と通じて父・惟豊に反旗を翻しました。惟将は父の命を受け、討伐軍の大将として出陣します。甲斐宗運の補佐を受け、木倉原の戦いにおいて御船方を打ち破り、益城郡の御船城を攻略、房行を自刃に追い込みました。

永禄2年（1559年）、父・惟豊の死により家督を継ぎました。当時の阿蘇氏は、島津氏や肥前国（現在の佐賀県、長崎県の一部）の龍造寺氏といった有力な勢力からの圧迫を受け、苦境に立たされていました。惟将は、甲斐宗運を重用し、豊後国（現在の大分県）の大友氏らと連携することで、独立を維持しようとしました。その後も、周辺の様々な勢力と巧みに連携を取りながら、独立を維持し続けました。

天正11年（1583年）に亡くなりました。家督は弟の惟種が継承しました。

阿蘇惟将は、周辺の有力大名からの圧迫を受けながらも、巧みな外交戦略と内政手腕によって阿蘇氏の独立を維持した人物として評価されています。特に、甲斐宗運を重用し、その軍事力を背景に勢力均衡を図ったことは、阿蘇氏の存続に大きく貢献しました。また、大友氏との連携も、島津氏や龍造寺氏に対抗する上で重要な役割を果たしました。

参考文献

熊本日日新聞編纂・発行『熊本県大百科事典』、1982年、19頁
阿蘇惟之編『阿蘇神社』学生社、2007年

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