阿説示

阿説示（アッサジ）

阿説示（あせつじ、アッサジ）は、釈迦の弟子の中でも特に重要な人物の一人です。釈迦が悟りを開いた直後に教えを説いた最初の五人の比丘、いわゆる「五比丘」の一人として知られています。彼の名前は、経典によって様々な表記が見られますが、いずれも釈迦の教えを広める上で重要な役割を果たしました。

名前について

阿説示の名前は、サンスクリット語でAśvajitまたはAśvakaと表記され、パーリ語ではAssajiと書かれます。これらの名前は、音写や訳によって「阿湿貝」「阿輸波祇」「阿説多」など、多数の異なる表記が存在します。また、「馬勝」「馬師」「馬星」「馬宿」「無勝」といった意味を持つ名前としても知られています。さらに、Upasena（烏波西那、優波斯那）という別名も持っています。

ただし、注意すべき点として、釈迦の弟子の中に同じ「Aśvajit」という名前を持つ人物が他に存在します。この人物は、悪事を働いた六群比丘の一人であり、本項で解説する阿説示とは別人です。

人物像

阿説示は、釈迦が悟りを開いた後に最初に教えを説いた五比丘の一人であり、その出自はバラモン種であると推測されていますが、詳しい出自は不明です。彼は、釈迦が太子であった頃、父王である浄飯王の懇願によって、阿若・憍陳如（アニャ・カウンダンニャ）を筆頭とする五人の修行者の一人として釈迦に付き従いました。釈迦が苦行林で6年間苦行を続けた後、それが真の悟りへの道ではないと悟り、その場を去った時、彼らは「太子は苦行に耐えられず修行を放棄した」と疑い、波羅奈（バラナシー）の鹿野苑へと去りました。

その後、釈迦が悟りを開き鹿野苑へ向かった際、阿説示を含む五比丘に対し、初めて四諦八正道などの仏法を説きました。阿説示は、威儀端正な人物として知られており、その姿は多くの人々を惹きつけました。ある時、王舎城（ラージャガハ）で托鉢をしていた際、彼の姿や態度に感銘を受けた舎利弗（シャーリプトラ）が、彼の後を追いかけ、「あなたの師はどのような人物で、どのような教えを説いているのか」と尋ねました。阿説示は、仏とその教えの一端を語ると、舎利弗はすぐに仏弟子となったと伝えられています。

舎利弗は、阿説示の恩義を深く感じ、死ぬまで彼がいる方向には足を向けて寝ることがなかったと言われています。この逸話からも、阿説示が仏教においてどれほど重要な存在であったかがうかがえます。

阿説示は、釈迦の教えを広める上で、非常に重要な役割を果たした人物であり、彼の行動や教えは、後世の仏教徒に大きな影響を与えました。

まとめ

阿説示は、釈迦の初期の弟子であり、その威儀端正な姿と、舎利弗を仏弟子に導いた功績によって知られています。彼の生涯は、仏教の発展において重要な役割を果たし、後世に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

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