阿遅速雄神社

阿遅速雄神社（あちはやをじんじゃ）

阿遅速雄神社は、大阪府大阪市鶴見区に位置する由緒ある神社で、延喜式神名帳に名を連ねる式内社です。旧社格では郷社とされ、江戸時代には八剣神社としても知られていましたが、後に当社の祭神と延喜式の関連付けが行われ、阿遅速雄神社としての名が定着しました。この神社の歴史は古く、668年に起こった草薙剣の盗難事件に由来すると言われています。この事件では新羅の僧が草薙剣を持ち逃げようとしましたが、嵐に見舞われ、恐れをなして剣を川に投げ捨てたと伝えられています。後に、新羅の僧が剣を返すために神社に立ち寄ったとされています。

祭神

阿遅速雄神社の主祭神は阿遅鉏高日子根神であり、八劔大神が配祀されています。祭神は古代からこの地の守護神とされ、民に農耕技術を授けた神として信仰されています。

歴史的背景

本社の歴史は、明治時代の浪速鉄道建設の際に現在の地に移されたことから始まります。また、1968年には氏子総代の発案により護国社が建てられ、境内の大規模な整備が実施されました。その際に、本殿の修復や神域の拡張といった工事が行われ、多くの末社も建立されました。これにより、より多くの信者が訪れるようになりました。また、境内には大阪府知事が揮毫した「紀功碑」が存在し、地域の歴史を感じさせる一因となっています。

祭礼

阿遅速雄神社では、例祭日には熱田神宮から宮司や神職が参拝しており、相互に参列する慣習が続いています。主な祭礼は、夏祭宵宮として7月第3土曜日、夏祭が7月第3日曜日に行われ、例大祭は10月の第3土曜・日曜日に実施されます。

境内の特徴

境内には、歴史的な社殿と重要な文化財が数多く揃っています。特に本殿は流造の銅板葺で、神聖な雰囲気を醸し出しています。正門の瓦葺きは明治初期に近在の薩摩屋敷から移築されたとも言われており、そこから薩摩門の名称が付けられています。

阿遅速雄社社号標石

本殿前には「阿遅速雄社」と刻まれた花崗岩製の標石があります。この標石は1736年から1737年にかけて建立され、大阪市の有形文化財に指定されています。

お陰灯篭

正門横には、慶應4年に制作された灯篭があります。この灯篭はお陰参りの証しとして立てられたもので、現在は大阪市指定有形民俗文化財に認定されています。

大クスノキ

樹齢1000年のクスノキも境内の特徴的な存在です。特に大正時代には落雷に遭い、主幹が枯れましたが、樹木医の手により支幹が生き延びています。1963年には大阪府により天然記念物として指定されました。

交通アクセス

阿遅速雄神社は、JR学研都市線とJRおおさか東線の放出駅から東へ約200メートルの位置にあり、大阪府道159号線に面しています。そのアクセスの良さも、多くの参拝者に利用されています。

このように、阿遅速雄神社は歴史的な背景を持ち、文化財も豊富で、地域の人々に深く愛されている神社です。

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