阿部吉雄

阿部 吉雄について

阿部吉雄（あべ よしお、1905年5月12日 - 1978年5月30日）は、日本の著名な中国哲学者であり、特に朝鮮儒学の研究において業績を残しました。彼の生涯を通じての学問的な歩みや研究成果を紐解いてみましょう。

経歴

彼は1905年に山形県で生まれ、その後山形高等学校を経て東京帝国大学の文学部支那哲学科に進学しました。1928年に『荀子の研究』という卒業論文を提出し、同大学を卒業しました。以降は大学院でさらなる研究を続けました。

1930年には東方文化学院東京研究所の助手として勤務し、服部宇之吉の著作の研究を手伝いました。彼はその後、1935年に研究員となり、朱子経の研究を進めます。そして1941年、京城帝国大学法文学部に助教授として赴任。ここで朝鮮儒学に深い関心を持つようになり、関連する専門書を著しましたが、敗戦により原稿を失うこととなりました。

戦後は無一文で日本に引き揚げ、東京大学教養学部の教授となりました。

戦後の活動

1961年には東京大学で『江戸初期儒学と朝鮮儒学』という学位論文を発表し、文学博士号を取得します。1964年に刊行した『日本朱子学と朝鮮』は、その論文を踏まえたものです。阿部は1966年には東京大学を定年退官し、名誉教授となります。以後は実践女子大学で教鞭を執り、亡くなるまでその職務を全うしました。

研究内容と業績

京城帝国大学での経験を通じて、阿部は朝鮮儒学の研究を深め、日中間での儒学受容の比較研究を行いました。1972年には李退渓研究会を組織し、1974年には同研究会の会長に就任しました。さらに、日韓両国で李退渓研究の国際学会を開催するなど、国際的な交流を促進しました。加えて、漢和辞書の編纂にも関与し、漢文教育にも積極的に取り組みました。

著作

阿部吉雄の著作には、共編著として『朝鮮の朱子学・日本の朱子学 上』（1977年、明徳出版社）があります。また、彼の業績が大きく反映された記念書籍『東アジアの思想と文化 故阿部吉雄博士を偲ぶ』も1980年に発刊されました。

彼の研究は中国哲学における重要な基盤を築き、特に朝鮮儒学の理解を深める上で大きな寄与を果たしました。阿部は1978年に惜しくもその生涯を閉じましたが、彼の研究留学や修学の跡は今もなお後世に影響を与え続けています。

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