阿部未来

阿部 未来

阿部 未来（あべ みらい）は、1985年3月9日に秋田県で生まれた、日本の才能ある指揮者です。そのキャリアは多岐にわたり、オーケストラ指揮を中心に、オペラ分野での活動や教育にも力を入れています。

学びの軌跡

阿部氏は、まず鍵盤楽器の世界からその音楽の道をスタートさせました。2007年、東京音楽大学音楽学部の器楽専攻（ピアノ）を卒業し、ピアノ演奏の基礎を築きました。ピアノは前田英樹、杉山とみえ、ロナルド・カヴァイェの各氏に師事しています。その後、音楽の探求を深めるべく、2009年には同大学大学院の科目等履修生として作曲・指揮専攻へと進み、指揮法を本格的に学び始めました。ここでは広上淳一、船橋洋介、三河正典、時任康文の各氏から指導を受け、また著名な指揮者である飯森範親氏からも薫陶を受けています。

音楽大学での学びを終えた後も、その才能をさらに磨くため、2011年にはロータリー財団国際親善奨学生としてドイツへの留学を果たしました。留学先であるドレスデン・カール・マリア・フォン・ウェーバー音楽大学では、指揮をE.Klemm、S.Leissnerの両氏に師事し、ヨーロッパの音楽の本場で研鑽を積みました。さらに、オペラ分野にも深い関心を持ち、F.Brochhagen、V.Borritsの両氏からオペラコレペティションおよびオペラ指揮法について学びました。この間、C.Kluttig氏からも指導を受け、オペラ指揮者としての素養も養いました。

プロフェッショナルとしての活動

ドイツ留学中の2012年には、Landesbühnen Sachsenにてコレペティートルおよび指揮者として研修を行う機会を得ました。特に、Sorbisches National-Ensemble Bautzenによる子どものためのオペラプロジェクト、エンゲルベルト・フンパーディンク作曲のオペラ『ヘンゼルとグレーテル』においては、コレペティートルとしてゲスト契約を結び、そのプレミエ公演や追加公演の指揮を担当するなど、実践的な経験を積みました。

帰国後も精力的に活動を展開し、特に2015年から2019年までの期間、公益財団法人神奈川フィルハーモニー管弦楽団の副指揮者として、オーケストラの活動を支えました。副指揮者として、定期演奏会での指揮や教育プログラムでの指揮、オーケストラの運営サポートなど、幅広い役割を果たしました。この期間は、指揮者としてのキャリアにおいて重要なステップとなりました。

また、2021年度にはセントラル愛知交響楽団のアソシエイト・コンダクターを務めるなど、特定の楽団と深く関わる活動も行ってきました。

その指揮活動は国内の主要なオーケストラに広がり、これまでに東京都交響楽団、東京交響楽団、オーケストラ・アンサンブル金沢、山形交響楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団、神奈川フィルハーモニー管弦楽団、富士山静岡交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団、日本センチュリー交響楽団、大阪交響楽団、京都市交響楽団、広島交響楽団といったオーケストラのほか、東京佼成ウインドオーケストラ、オオサカ・シオン・ウインドオーケストラといった吹奏楽団、そして東京混声合唱団など、様々な実演団体の指揮台に立っています。

受賞と評価

阿部氏は、その才能とこれまでの実績が高く評価されており、2020年には公益財団法人山田貞夫音楽財団が主催する第2回指揮者オーディションにおいて、山田貞夫音楽賞と特選を受賞するという栄誉に輝きました。これは、指揮者としての阿部氏の実力を示す重要な出来事です。

近年では、後進の指導にも携わっており、2024年からは名古屋音楽大学音楽学部指揮コースの非常勤講師として、若い世代の音楽家育成にも貢献しています。

ピアノ、声楽、そして指揮という幅広い分野で学びを深め、国内外での実践的な経験を積んできた阿部未来氏は、確かな技術と深い音楽理解をもって、今後の日本の音楽界においてさらなる活躍が期待される指揮者です。

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