阿部正寧

阿部正寧（あべ まさやす）

阿部正寧は、江戸時代後期の大名で、備後福山藩の第6代藩主です。阿部家宗家の10代目にあたります。官位は従五位下・対馬守、後に伊予守となりました。

生涯

文化5年（1808年）、第5代藩主・阿部正精の三男として江戸の藩邸で生まれました。兄の正粹が廃嫡されたことと、次男が若くして亡くなったため、嫡子となり、文政9年（1826年）に18歳で家督を相続しました。

天保2年（1831年）には奏者番に任じられますが、病気を理由に辞職しました。藩政にはあまり関心がなく、福山藩は天保2年の大洪水、翌年の凶作、さらに天保7年の大凶作と立て続けに災害に見舞われましたが、特別な対策を講じることはありませんでした。そのため、天保7年（1836年）に28歳という若さで、家督を弟の正弘に譲り、隠居しました。なお、天保2年には一揆の動きもありましたが、事前に発覚し、首謀者は処罰されています。

文化政策においても、先代の正精のような熱心さは見られず、「福府義倉」への援助もなくなりました。しかし、自らは隠居後、「不争斎」と号して文筆に親しんだと伝えられています。

正寧は隠居後も40年近く生き、明治3年（1870年）7月1日に62歳で亡くなりました。弟の正弘、隠居後に生まれた長男の正教、三男の正方と、その後3代の藩主が相次いで亡くなっています。戒名は常徳院寛譽主善元良。江戸の浅草西福寺に葬られ、現在は東京都台東区谷中に墓所があります。

生来、病弱であったと伝えられています。

系譜

父：阿部正精（1775-1826）
母：井出氏
正室：益子 - 鍋島斉直の娘
室：大河内氏
長男：阿部正教（1840-1861） - 阿部正弘の養子
生母不明の子女
三男：阿部正方（1848-1867）
女子：阿部正耆正室
女子：松平直静養女
女子：阿部正義正室
養子
男子：阿部正弘（1819-1857） - 阿部正精の五男

阿部正寧が登場する作品

漫画
『大奥』よしながふみ

参考文献

『阿部正弘 挙国体制で黒船来航に立ち向かった老中』後藤敦史。戎光祥選書ソレイユ011。2022年

外部リンク

備後歴史探訪倶楽部特別版「福山城」 - ウェイバックマシン（2005年4月7日アーカイブ分）
* 福山誠之館同窓会

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