阿部正鎮

阿部正鎮（あべ まさたね）は、江戸時代中期に活躍した大名であり、三河刈谷藩の第2代藩主、そして上総佐貫藩の初代藩主として知られています。佐貫藩阿部家の2代目にあたります。

生涯

元禄12年11月18日（1700年）、阿部正春（当時は上総大多喜藩主）の六男としてこの世に生を受けました。兄たちが相次いで早世したため、正鎮は嫡子となり、宝永6年（1709年）4月に父の跡を継ぎ、刈谷藩主となりました。

翌年の宝永7年（1710年）5月25日には、刈谷藩から上総佐貫藩へと移封されます。この移封は、彼の藩主としてのキャリアにおける重要な転換点となりました。その後、正徳3年（1713年）3月には、従五位下・民部少輔に叙任され、その地位を確固たるものとしました。

正徳4年（1714年）4月には、弟である阿部正長に2000俵を分与しています。これは、藩の財政や兄弟関係における彼の役割を示す出来事と言えるでしょう。さらに、正徳5年（1715年）5月には、因幡守に遷任され、その官位をさらに高めました。

享保9年（1724年）には、大坂加番に任じられ、幕府の要職を担うことになります。この役職は、大坂の警備を担当する重要なものであり、正鎮の行政能力が評価されたことを示しています。

宝暦元年（1751年）11月4日、正鎮は53歳でその生涯を閉じました。彼の死後、家督は養子である阿部正興が継ぎました。

系譜

父母

父：阿部正春
母：深達院 - 烏丸資慶の養女、園基音の娘

正室

栄久院 - 松平乗紀の娘

子女

三男：阿部正賀
娘：徳相院 - 阿部正興正室
娘：森川氏寿室
娘：戸田光邦正室

養子

阿部正興 - 阿部正福の四男

阿部正鎮は、激動の時代を生きた大名として、その生涯は多くの出来事に彩られています。刈谷藩主から佐貫藩初代藩主となり、大坂加番も務めるなど、その行政手腕は高く評価されました。彼の系譜は、当時の大名家の婚姻関係や養子縁組の慣習を理解する上で、重要な手がかりを与えてくれます。正鎮の生涯は、江戸時代中期の大名社会の縮図と言えるでしょう。

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