陣内孝雄

陣内 孝雄（じんのうち たかお）

陣内孝雄氏は、1933年8月24日に生まれた日本の政治家であり、官僚としても長いキャリアを持つ。佐賀県神埼郡神埼町（現在の神埼市）出身で、佐賀県立佐賀高等学校を経て、京都大学工学部土木工学科を卒業し、さらに大学院を修了した。1958年に建設省に入省後、近畿地方建設局の企画部長や九州地方建設局長などの重要な職務を歴任。1988年1月には建設省河川局長を最後に退官した。

その後、同年の4月に実施された三池信元郵政大臣の死去に伴う参議院議員候補補欠選挙に参戦し、佐賀県選挙区から初当選を果たした。この当選を皮切りに、彼はその後の選挙でも連続当選を重ね、通算で4期を務め上げた。自民党内ではさまざまな役職を歴任し、佐賀県連会長や農林水産政務次官、さらには参議院予算委員長などを経験した。また、小渕第1次改造内閣では法務大臣に就任した。

陣内氏は保守派に位置付けられ、特に靖国神社に関連する議論においては、国立追悼施設の建設には反対の立場を取っていた。法務大臣在任中には、例大祭での献灯を行い、靖国神社への参拝を続けた経歴も持つ。また、選択的夫婦別姓制度導入には反対し、ジェンダー問題でも保守的な見解を示していた。自民党内では竹下派からスタートし、その後小渕派、橋本派、津島派に所属し、副会長として参院の会長を務めた。

2005年には参議院の「郵政民営化に関する特別委員会」の委員長に就任し、この人事は法案反対派を抑える狙いがあったと言われている。2007年の通常選挙に立候補予定であったが、佐賀県連の総務会で公認辞退が了承され、その背景には県内の敵対的な政治状況が影響していた。

しかし、政治家としての道には波乱もあった。2007年6月22日、佐賀地裁は陣内氏を含む当時の役員3名に、佐賀商工共済協同組合の元組合員からの訴訟において約10億3500万円の損害賠償責任を認定した。この案件は、アルゼンチン国債の債務不履行に起因しており、佐賀県も損害賠償責任を追及されたため、県は元経営陣に求償を行った。また、政治家としての年金未納問題にも一時期注目が集まり、年金の未納が発覚したこともあった。

さらに、陣内氏は彼の政治資金の透明性においても問題が指摘されている。彼の資金管理団体や県連・支部は、九州新幹線の建設に関与する企業から過去7年間で3830万円以上の政治献金を受け取っていた。加えて、熊本県の川辺川ダムを受注した企業からも2370万円の献金があった。

陣内氏は、神道政治連盟や日韓議員連盟など、様々な団体や議員連盟にも所属していた。著作としては、「この国を考える「夢の歴史回廊を未来へつなぐ」」や「琵琶湖水管理における水門予測システムに関する研究」などがあり、政治や政策に対する考えを表明している。

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