京官

京官の概要

京官（きょうかん）は、律令制において、中央政府においての在京の官職や官司を指します。これは「在京諸司」の略であり、内官（ないかん）とも呼ばれています。外官との対照的な位置づけにあり、国の運営において重要な役割を果たしていました。

京官の起源と日本への導入

京官の概念は、中国の古典『周礼』にまで遡ることができます。この文献では、天子が統治する都城における官僚として、王畿にて天子を支える役割を果たす存在として描かれています。封建制から直轄支配に移行する過程で、外官としての諸侯の役割が変わる一方、京官の機能は依然として保持され、日本においても導入されました。

京官に関する記録によれば、京官に対する命令文書には外印（太政官印）が使用され、外官には内印（天皇御璽）が使われていました。このことは、古代中国から受け継いだ貴族的な権威の象徴とも言えます。

日本における京官の特色

日本においては、京官の制度は中国の規定を部分的に踏襲しつつも、国内向けに独自のルールを設けることがありました。具体的には、五位以上の京官が畿外に出る際には、必ず天皇への奏聞が求められました。これは、京官同士の行政活動がどれほど重要であったかを物語っています。

また、養老律令の職員令には、二官八省一台五衛府や馬寮・兵庫・京職・市司といった官職が挙げられています。京官の定員は四等官で432名、下級官人を加えると約8,299名に及んでいました。さらに、後宮職員令や東宮職員令に規定された諸司も「京官」に含まれ、特に『令集解』においては摂津職も京官に準じる立場とされていました。

京官の勤務形態

京官の職務に従事する者は、公式令に基づき、大極殿や朝堂院が開く前の大地の出勤を義務付けられていました。日々の業務は、正午以降に閉門されるまで継続され、官職に従事することで国の行政活動の根幹を支えていたことが知られています。

以上のように、京官は律令制度の下で重要な役割を果たし、その形態や性格は中国の影響を受けつつも、日本独自の発展を遂げました。京官の存在は、国家機構の中での官職のあり方や行政制度の理解に欠かせない要素となっています。

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