陰間

陰間（かげま）についての詳細

陰間とは、主に江戸時代において、茶屋や宿などで客に男色を提供した男娼のことを指します。この呼称は、特に13歳から20歳の美少年たちに適用されました。彼らは主に男性客を相手にする一方、時には女性とも関係を持っていました。歳を重ねると、20歳を過ぎると少年という位置づけから外れ、主に御殿女中や商家の人妻を対象とすることが多くなりました。

陰間の由来と歴史

「陰間」という言葉の由来は、歌舞伎の舞台において修行中の少年役者が「陰の間」の役者と呼ばれていたことに起因します。これらの役者の中には、売色を兼業している者も少なくなく、次第に「陰間」が男娼を指す語として定着していきました。

歌舞伎は当初、女性が演じる「女歌舞伎」として発展しましたが、女性役者たちが売春も行っていたため、1629年に町奉行所は女性の舞台出演を禁止しました。これにより、元服前の少年による「若衆歌舞伎」が人気を集めるようになりましたが、彼らもまた売色行為に関与していました。1652年には若衆歌舞伎の禁止が施行され、その結果、芝居街は閑散としてしまいました。それにより、江戸っ子たちは若衆歌舞伎の再開を望むようになり、町奉行所は新たな条件のもと再び彼らを舞台に立たせることを許可しました。

このように、江戸時代の歌舞伎界では、役者が売春業を営むことが一般的でした。特に女性役を担う女形は、より実際の女性に近づく存在となり、彼らに抱かれることが役者修行の一環と見なされるようになりました。修行中の女形は陰間を兼ねることが多く、舞台を離れた後も顧客に声をかけられ、贔屓客との交流を通じて売色を行っていました。

陰間茶屋と専業陰間

陰間の活動は江戸時代にさかのぼります。芳町（現在の日本橋人形町）や湯島天神などの地域で営業しており、当時は少年たちは役者の弟子という名目で陰間宿に帯同されていました。二十歳を過ぎると、彼らは専業の陰間として活動を始め、陰間茶屋が現れるようになりました。これらの茶屋では、役者ではない専業の少年たちが客を迎えるようになり、彼らは女装しない場合が多くありました。

男性と女性の両方に対する愛情を学ぶことが社交の極みとされていたため、陰間茶屋は多くの客を惹きつけていました。多くの同性愛者が訪れることで、陰間茶屋は大いに繁盛しましたが、田沼時代以降、次第に衰退していきました。明治維新以降、日本が国民皆兵国家に変わると、陰間茶屋はほぼ完全に姿を消しました。

陰間にまつわる文化

陰間の歴史や文化についての資料も残されており、その中には驚くべき性技や少年たちの身体に対する取り扱いについての記録があります。また、弘法大師（空海）に仮託して詠まれた詩や川柳も存在し、当時の人々の意識や文化を垣間見ることができます。例えば「ちょっちょっと陰間を買って偏らず」という川柳がその一例です。

このように、陰間はただの男娼にとどまらず、明治維新前の日本の文化や社会に深く根付いた存在でした。今でも彼らの存在は多くの作品や研究において語られ続けています。

もう一度検索