陳容

陳容（ちん よう、生年不詳 - 196年）は、後漢末期の政治家であり、字は不明である。徐州広陵郡射陽県の出身。

臧洪との出会いと袁紹との対立

陳容は、臧洪（ぞうこう）と同郷であり、若い頃は書生であったが、臧洪の人柄に深く感銘を受け、彼に従って東郡丞（とうぐんじょう）となった。臧洪が張超（ちょうちょう）の死をきっかけに袁紹（えんしょう）と対立した際、臧洪は包囲された城から陳容を脱出させた。

臧洪の処刑と陳容の覚悟

しかし、落城後、袁紹は臧洪を処刑することにした。その際、袁紹は陳容に対し、処刑の場に同席するよう命じた。これに対し、陳容は臆することなく袁紹を激しく非難した。「将軍（袁紹）は大事をなすというのであれば、天下のために暴虐非道を取り払うべきでしょう。しかし、あなたは忠義の者を処刑してばかりいる。これでは天意にかなうとは言えません。臧洪は郡将たちのために挙兵したというのに、どうして殺すのですか！」と痛烈に批判した。袁紹はこれを聞いて、恥じ入ったという。

死をも恐れぬ忠義

陳容が処刑されるために側近らに引き出されていく際、袁紹は陳容に「お前は臧洪の仲間というわけでもないだろうに、なぜそのような無駄な振る舞いをするのか」と問いかけた。陳容は振り返り、「仁義というものは不変ではありません。それに遵守するならば君子であり、背けばすなわち小人です。今日は臧洪と共に死ぬ日であって、将軍と共に生きることは決してないでしょう！」と答えた。陳容が処刑されると、袁紹のもとに座していた人々は「1日にして2人の烈士を殺すことになるとは」と、ひそかに嘆き悲しんだ。

陳容の行動は、臧洪への深い友情と、自身の信念を貫き通す強い意志を示すものであった。彼は死を恐れず、正義のために自らの命を捧げた。彼の忠義心は、後世の人々に語り継がれ、称賛されている。

参考文献

『三国志』巻7 臧洪伝
『後漢書』巻58 臧洪伝

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