陳寿 (明初)

陳寿（ちん じゅ）は、生年不詳ながら、明の初期に活躍した官僚です。彼の出自は随州随県にあります。

生涯

陳寿は洪武年間に国子生から身を起こし、戸部主事の職に就きました。その後、1403年（永楽元年）には戸部員外郎に昇進し、山東参政として地方行政にも携わりました。1408年（永楽6年）10月には、夏原吉の推薦により中央に呼び戻され、工部左侍郎という重要な役職を任されました。

当時の皇太子であった朱高熾が南京で監国を務めていた際、陳寿は兵民の困窮を憂い、側近に恩恵によって取り立てられた者が多く、彼らの甘言によって明徳が損なわれる危険性を指摘しました。この直言は、彼の高潔な人柄を示すものです。

しかし、1411年（永楽9年）には、漢王朱高煦による中傷を受け、投獄されてしまいます。獄中では非常に貧しく、朝夕の食事すら自分で用意することができませんでした。部下が食事を差し入れようとした際も、陳寿は断固として受け取りませんでした。この逸話は、彼の清廉潔白な性格を物語っています。陳寿は獄中で無念のうちに亡くなりました。

陳寿の死後、1424年（永楽22年）に洪熙帝が即位すると、その功績が認められ、工部尚書の位が追贈されました。さらに、敏粛という諡号も贈られ、その生涯が讃えられました。

陳寿の息子である陳常もまた、父と同様に官僚として活躍しました。彼は中書舎人や工部侍郎といった要職を歴任し、父の遺志を継いで明朝に貢献しました。

陳寿は、その清廉潔白な生き方と、国家への献身的な姿勢から、後世に語り継がれるべき人物と言えるでしょう。彼の生涯は、明初の官僚のあるべき姿を示唆していると言えるでしょう。

参考文献

• - 『明史』巻150 列伝第38

もう一度検索