陸上自衛隊幹部候補生学校

陸上自衛隊幹部候補生学校について



陸上自衛隊幹部候補生学校（JGSDF Officer Candidate School, OCS）は、福岡県久留米市の陸上自衛隊前川原駐屯地内に所在する、防衛大臣直轄の教育機関です。ここでは、将来の陸上自衛隊を担う幹部自衛官を育成するための教育訓練が行われています。旧陸軍の士官学校に相当する機関として、高度な知識と技能、そして強靭な精神力を養うことを目的としています。

教育課程



入校する候補生は、防衛大学校出身者（B課程）、一般大学出身者（U課程）、部内選抜者（I課程）、陸曹航空操縦学生出身者（A課程）、体育学校出身者（Y課程）といった一般幹部候補生に加え、防衛医科大学校や一般大学の医学部・歯学部出身者からなる医科歯科幹部候補生（M・D課程）、防衛医科大学校看護学科出身の看護科幹部候補生（NB課程）、薬学部出身の薬剤科幹部候補生（P課程）、看護陸曹で看護師資格を持つ者からなる幹部基礎（看護師）課程（N課程）と多岐にわたります。入校と同時に、一部の課程を除き、陸曹長の階級が付与されます。

教育期間は約9ヶ月間で、B課程、U課程、P課程の候補生は同じ期間教育を受けます。2014年度入校の第95期からは、入校中に全員が普通科連隊で部隊実習を行い、卒業後に各職種部隊に配属される制度に変更されました。医科歯科幹部候補生は6週間の教育を受け、一般教養、防衛学、戦史、語学、体育、武器訓練などを学びます。医師国家試験合格者は2等陸尉に任官後、実習に入ります。不合格者は、合格するまで衛生職種陸曹として勤務し、その後幹部として任官されます。

かつては、部内の准尉・曹長からの選抜者からなる3尉候補者（SLC課程）の教育も行われていましたが、現在では各職種学校が担当しています。

伝統行事



高良山登山走



最も有名な伝統行事の一つが、高良山登山走です。学校から高良大社までの5.6kmのコースを走破します。この登山走は卒業条件の一つとなっており、男子は30分以内、女子は35分30秒以内のタイムが求められます。かつて、1966年には円谷幸吉氏が18分9秒という驚異的な記録を打ち立てましたが、これは現在も破られていません。高良山登山走は、1952年に当時の幹部候補生隊員が考案したもので、候補生に限界を体験させることが目的とされています。

藤山武装障害走



自然地形を利用した2.2kmの専用走路で行われる武装障害走は、実戦を想定した訓練です。完全武装で様々な障害を乗り越えながら、実弾射撃や手榴弾投擲を行います。この訓練は、1977年に実戦的な訓練の必要性から導入されました。

100km行軍



OCSでの訓練の集大成として、100kmの山道を踏破する行軍が行われます。この訓練は2泊3日の日程で行われ、体力と精神力の限界に挑戦するとともに、指揮統率能力を養うことを目的としています。1956年から伝統行事として実施され、地域住民の応援を受けることもあります。

給食



訓練だけでなく、給食にも伝統があります。「前川原名物料理」として、九州・沖縄の各県の名物料理が月替わりで提供され、毎週水曜日は「ちゃんぽんの日」として、野菜たっぷりの「剛健ちゃんぽん」や久留米ラーメンの流れを汲む「幹候ラーメン」が提供されます。これにより、地域や学校への愛着心を育んでいます。

沿革




組織編成



  • - 企画室
  • - 総務部（総務課、管理課、会計課、衛生課、教材課）
  • - 教育部（教務課、主任教官、学校教官）
  • - 学生隊
  • - 幹部候補生学校教導隊

主要幹部



主要幹部については、公式ウェブサイト等をご確認ください。

アクセス



  • - 車：県道752号線を国分・高良内方面へ。「聴覚支援学校前」交差点の次の交差点を左折
  • - 公共交通機関：JR久留米駅または西鉄久留米駅から西鉄バス青峰団地行きに乗車、「自衛隊幹部候補生学校」で下車

脚注



  • - 出典：前川原半世紀の歩み（陸上自衛隊幹部候補生学校開校50周年記念誌）

関連項目




外部リンク



もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。