陸宗輿

陸宗輿（りく そうよ）

陸宗輿は清末民初に活躍した政治家および外交官であり、特に北京政府・安徽派の重要人物として知られています。彼は曹汝霖とともに「新交通系」の指導者とされ、中国近代史の中で特異な立場を占めていました。彼の主な業績や影響、そして最終的に五四運動によって直面した批判について詳述します。

若き日の経歴

陸宗輿は商人の家庭に生まれました。1896年に南京文正書院に入学し、そこで著名な改革者張謇に師事しました。1899年には自費留学で日本に渡り、早稲田大学で法制経済を学びました。帰国後は北京で税務管理を担当し、その後教育界にも足を踏み入れました。

1905年には巡警部の職に就くとともに、徐世昌のもとでさまざまな業務に従事しました。徐世昌が初代東三省総督になると、陸もその側近として奉天洋務局に任命される等、彼のキャリアは順調に進展していきました。

民国成立後の外交活動

中華民国が成立すると、陸宗輿は総統府の財政顧問の職に就任し、その後は駐日全権公使として日本に赴任しました。この時期、彼は日本の対華21ヶ条要求に関して交渉を行い、中国側の中立を日本に伝えるなど、敏腕な外交官としての一面を発揮しました。

特に注目すべきは、袁世凱が皇帝即位を計画した際、陸はその意向を受けて、大隈内閣と交渉し、支持を取り付けたことです。しかし、袁世凱が護国戦争などで苦境に立たされると、大隈内閣の支持も揺らぎ、1916年には彼自身も帰国を命じられることとなりました。

五四運動とその後の影響

五四運動の際、陸宗輿は彼の親日的な姿勢が大きな批判の対象となりました。特に、彼の行動は学生たちから「売国奴」として糾弾され、同門の曹汝霖や章宗祥とともに国民の怒りを買いました。デモ隊は彼らの自宅に襲撃をかけ、陸はその場から逃れることになりました。この一連の事件は、彼の権威を著しく損なう結果となり、その年の6月には政府の職務から外されることになりましたが、交通銀行の総理には留まっていました。

その後の陸は臨時参政院の参政として再び政界に復帰するも、北京政府崩壊後は天津や北平に住まうことになりました。1939年には「和平救国宣言」に署名し、1940年には南京国民政府の顧問に就任しました。1941年には北平で急逝し、享年66歳となりました。

結論

陸宗輿は、清末民初における重要な政治家及び外交官であり、彼の業績は当時の中国の歴史と密接に関わっています。彼の親日的政策は特に五四運動において反発を受け、最終的にはその生涯において評価と批判が交錯する複雑な存在となりました。

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