陸平貝塚

陸平貝塚（おかだいらかいづか）

陸平貝塚は、茨城県稲敷郡美浦村の霞ヶ浦南岸に位置する、縄文時代の貝塚です。1998年（平成10年）9月11日に国の史跡に指定され、その学術的な価値と歴史的重要性が認められました。

概要

貝塚は環状に分布しており、縄文時代前期から後期にかけての遺物が豊富に出土しています。東西約250メートル、南北約150メートルの舌状台地に、大小8つの貝塚群が点在しているのが特徴です。

出土遺物

出土遺物は、縄文時代中期から後期を中心とした土器、土偶、土製耳飾り、石器、骨角器、貝製品など多岐にわたります。動物遺体としては、ハマグリ、シオフキ、サルボウ、ハイガイ、マガキ、アカニシといった内湾に生息する貝類の貝殻が大量に見つかっています。また、クロダイ、スズキ、フグなどの魚骨、シカ、イノシシ、ウサギなどの獣骨も出土しており、当時の人々の食生活や自然環境を知る上で貴重な資料となっています。

陸平貝塚は、国内でも規模の大きい貝塚群であり、その変遷過程が明確に推察できる点も特筆されます。

現在、貝塚の周辺は陸平貝塚公園として整備され、竪穴建物などが復元されています。これにより、訪れる人々は縄文時代の暮らしをより身近に感じることができます。

歴史

陸平貝塚は、1879年（明治12年）に東京大学の学生であった佐々木忠次郎、飯島魁によって、日本人による初めての発掘調査が行われた遺跡として知られています。これは、エドワード・S・モースに学んだ彼らによって実施され、「日本考古学の原点」と称されるほど、考古学史において重要な出来事でした。

その後、1970年代には住宅団地開発計画が持ち上がり、遺跡は破壊の危機に直面しましたが、開発計画は中止されました。1980年代にもリゾート開発が計画されましたが、今回は「開発と遺跡保存は並列」という理念のもとで完全保存が検討されました。しかし、この計画もバブル崩壊の影響を受けて頓挫しました。

1990年代には、住民ボランティア団体を中心に、陸平貝塚の重要性を広く知らせる活動が始まりました。その結果、1998年に国の史跡に指定され、現在に至るまで、貝塚とその周辺は手付かずの状態で大切に保存されています。

陸平貝塚は、考古学的な価値だけでなく、地域住民の努力によって守られてきた歴史的遺産としても重要な意味を持っています。

関連項目

縄文時代の遺跡一覧
日本の貝塚一覧
* 関東地方の史跡一覧

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