佐々木忠次郎

佐々木忠次郎

佐々木忠次郎（ささき ちゅうじろう、1857年9月27日 - 1938年5月26日）は、明治・大正・昭和期に活躍した日本の昆虫学者であり、近代養蚕学・製糸学の発展に大きく貢献した人物です。

生涯

佐々木忠次郎は、安政4年8月10日（1857年9月27日）に福井藩士の子として福井で生まれました。1871年、父の工部省勧工寮出仕に伴い、14歳で上京。東京大学理学部に入学し、エドワード・S・モースやチャールズ・オーティス・ホイットマンといった著名な学者から指導を受けました。

大学在学中の1877年には、モースの生徒として、松村任三、松浦佐用彦とともに大森貝塚の発掘調査に参加。1879年には、日本人だけによる最初の発掘調査として、後輩の飯島魁とともに陸平貝塚の調査を行いました。1881年に東京大学理科大学生物学科を第一回生として卒業後、1889年から2年間ドイツへ留学し、ミュンヘン大学で動物学を研究しました。留学中も常に和装を崩さず、羽織に仙台平の袴というスタイルで過ごし、ミュンヘンの名物になったというエピソードが残っています。

帰国後、帝国大学農科大学助教授となり、1893年には動物学・昆虫学・養蚕学の第二講座の初代教授に就任。長年にわたり教鞭を執り、多くの研究者を育成しました。1921年に退官し、名誉教授となりました。1922年4月7日には、その学術的な功績が認められ、帝国学士院会員に選ばれています。

佐々木忠次郎は、害虫研究や蚕研究に力を注ぎ、数多くの著書や論文を発表しました。彼の業績は没後も高く評価され、旭日重光章が贈られています。また、日本の国蝶であるオオムラサキの属名「ササキヤ（Sasakia）」は、彼に対する献名であり、その名が後世にまで残されています。

家族

父の佐々木長淳（権六、1830-1916）も養蚕学の研究者であり、福井藩士・佐々木小左衛門長恭の長男として生まれました。長淳は幕末の福井藩で主に技術官僚として軍事・軍制改革に携わり、武器購入のために米国へも渡航。維新後は新政府の農政実務官僚として養蚕・製糸・紡績等の分野で大きな功績を残しました。

栄典

1891年（明治24年）12月21日 - 正七位
1901年（明治34年）8月31日 - 正五位
1906年（明治39年）10月20日 - 従四位
1911年（明治44年）12月11日 - 正四位
1917年（大正6年）1月10日 - 従三位

勲章等

1901年（明治34年）12月27日 - 勲五等瑞宝章
1915年（大正4年）11月10日 - 大礼記念章

脚注

論文

国立情報学研究所収録論文

外部リンク

* 石森直人「佐々木忠次郎博士を憶ふ」『昆蟲』第12巻第5号、日本昆虫学会、1938年7月、pp. 115-120、ISSN 0915-5805

もう一度検索