陸軍兵器局

陸軍兵器局の概要

陸軍兵器局（英：Heereswaffenamt、略称：HWA）は、1919年から1945年まで存在したドイツ国の兵器に関連する主要な行政組織です。この機関は、陸軍のみならず、空軍や海軍の兵器の調達や補給の決定にも関与し、各部門の間での重複を避けるために、効率的な運営を行いました。具体的には、火砲や弾薬については、空軍の高射砲や海軍の中小火砲の弾薬管理を一元的に担当しました。また、自動車などの装備も同様に扱われました。

沿革

陸軍兵器局は、1919年11月8日に国防省の下に設置された「兵器局」として始まり、初代局長はヴルツバッハー大佐でした。その後、1922年に「陸軍兵器局」に改名されました。1933年には、ゲーリングが主導する航空省が設立され、航空技術部は航空省技術局へ移行。平時には陸軍総司令官に直属していましたが、1939年の第二次世界大戦の開戦後は国内予備軍司令官の管轄下へと移ります。

大戦中には何度か組織変更があり、1944年には研究部門や6つの主要部門（中央部、開発・試験部、技術部、工業生産部、弾薬量産部、審査部）から構成されていました。この時期、職員数は1939年の7000人から1944年には195000人に増加しています。1945年には、ヴァルター・ブーレ大将が陸軍兵器局を国防軍兵器局に拡大しようとしましたが、戦局の厳しさによりそれは実現できませんでした。その後、多くの機能が南バイエルンに移され、1945年4月27日には正式に解体されました。

日本との関わり

日本の旧陸軍は、ドイツにおける再軍備の進展を探るために、大島浩駐独大使館付武官の影響力を利用して、1935年から1936年にかけて、ドイツに専門家を派遣しました。彼らは陸軍兵器局の運営についての講義を受け、全体的な兵器行政の一元的運用を学びましたが、素材や人材の奪い合いを強いられる業界では実現が困難であることも感じ取ったようです。

また、1940年から41年にかけては、山下奉文中将が団長を務める軍事使節団が独伊を視察し、新兵器の活用例を学びました。この視察により、日本の軍隊は新たな技術を導入するきっかけを得ました。1942年には、陸軍兵器局の大佐が日本に到着し、最新の兵器技術を日本側に提供するなど、技術交流が進みました。

新兵器

陸軍兵器局が開発した中でも特に有名な兵器はV2ロケットです。このロケットは、ヴェルサイユ条約による軍備制限の中で、長距離攻撃の手段として注目されました。カール・ベッカーがその開発を主導し、1950年代にいち早く液体燃料ロケットの研究を開始しました。さらに、「ドーラ」という名の列車砲もこの局が関与した兵器の一つとして知られています。

歴代局長

陸軍兵器局の歴代の局長は次の通りです。

• - ルートヴィッヒ・ヴルツバヒャー (1919年 - 1925年)
• - フォン・ボッツハイム男爵 (1926年)
• - マックス・ルートヴィッヒ (1926年 - 1930年)
• - アルフレート・フォン・フォラート＝ボッケルベルク (1931年 - 1933年)
• - クルト・リーゼ (1933年 - 1938年)
• - カール・ベッカー (1938年 - 1940年)
• - エミール・レープ (1940年 - 1945年)
• - ヴァルター・ブーレ (1945年)

この機関は、第二次世界大戦という歴史的な背景の中で、多くの重要な役割を果たしてきました。

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