陸軍士官学校事件

陸軍士官学校事件

概要

陸軍士官学校事件とは、1934年に発生した日本陸軍内部のクーデター未遂事件です。この事件は、皇道派の青年将校や士官学校の生徒たちが重臣や元老を襲撃する計画を立てていたものの、情報漏洩によって主な参加者が逮捕され、未遂に終わりました。参与した青年将校たちは、事件から2年後の二・二六事件にも関与し、陸軍内の派閥争いの一端を担いました。本事件は、統制派と皇道派という対立が背景にあり、いまだにその真相を巡る議論が続いています。

事件の経緯

事件の発端は、同年の十月事件にわたります。その際、橋本欣五郎大佐や馬奈木敬信大佐らが中心となり、青年将校の間に対立が生じました。陸軍内部では改革を求める動きがありましたが、元老や重臣たちはこれに反対しました。このため、両者の間で対話が試みられましたが、意見はかみ合わず、緊張は高まる一方でした。

特に統制派は、青年将校たちが政治に関与しようとする動きを警戒しており、弾圧をも辞さない方針を取りました。青年将校たちは、軍内部で改革が進まない現状に対し、軍を動かして自ら革新を進めることを主張しましたが、両者の意見は相反しており、やがて事件に発展していきました。

決起計画の発覚

事件の具体的な決起計画は、陸軍士官学校の候補生たちからリークされた情報を通じて明らかになりました。参謀本部の辻政信大尉は、士官学校の教頭である東條英機少将からの依頼を受けて、候補生たちに接し、計画の詳細を探った結果、青年将校らのクーデター計画の存在を把握しました。

辻は、情報を上層部に報告するために調査を進め、その結果として、村中孝次大尉や磯部一等主計を含む数名が逮捕されることとなりました。彼らは政府の重臣や首相官邸を襲撃しようと考えていましたが、その計画は未然に阻止されたのです。

事件の結果

逮捕された青年将校たちは、軍法会議で証拠不十分として不起訴となりました。しかし、軍紀上の問題があったとして村中と磯部は停職処分を受けることになります。その一方で、他の候補生たちは退校処分とされました。事件後、村中と磯部は自身たちの立場を擁護するために、事件がデッチ上げであったと主張しましたが、軍内部での審理は行われませんでした。

真相を巡る議論

この事件は、その後もさまざまな解釈がなされており、統制派と皇道派の対立が根底にあるとされています。統制派は、事件を未然に防いだ成功例として位置付ける一方で、皇道派は、監視と弾圧の結果、実際は陰謀であると主張しました。

歴史家たちは、事件の背後に隠された政治的意図や阴謀論についても言及しています。特に、事件当時の指導者たちの行動や言動から、彼らの真意を知ろうとする研究が続いています。具体的な証言や記録も数多く残されており、この事件が持つ歴史的重要性は、今もなお大きいと言えます。

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