陸軍教導学校

陸軍教導学校とは

陸軍教導学校は、日本陸軍における下士官養成を目的とした教育機関です。1871年から1899年まで陸軍教導団がその役割を担っていましたが、教導団の廃止に伴い、各部隊での下士官教育に移行した結果、下士官の質の低下が問題視されるようになりました。この状況を打開するため、1927年7月1日に「陸軍教導学校令」が制定され、教育総監の管轄下に、歩兵科の下士官候補生を養成する陸軍教導学校が仙台、豊橋、熊本に設置されました。なお、歩兵科以外の兵科の下士官養成は、従来通り各部隊で実施されました。

教育内容と制度

下士官候補生は、一年間の在営を経てから入学し、一年間の修学期間を経て下士官に任官されました。教育内容は、精神教育を根幹としつつ、軍事学、普通学、下士官としての実務に必要な術科訓練などが含まれていました。

1933年8月からは、豊橋陸軍教導学校において、歩兵科に加えて騎兵科・砲兵科の下士官候補生の教育も実施されるようになりました。しかし、1938年3月に「陸軍予備士官学校令」が制定され、予算の関係から豊橋校と仙台校に予備士官学校が併設されることになりました。1939年8月には豊橋校での騎兵科・砲兵科の下士官候補生教育は廃止され、その後、学校は全面的に予備士官学校へと転換されることになりました。そして、1943年8月2日をもって、陸軍教導学校は廃止されました。その後、歩兵の下士官養成は各軍隷下の軍教育隊で行われることになりました。

各校の歴代校長

仙台陸軍教導学校

平賀貞蔵 大佐：1927年7月1日 -
木村恒夫 少将：1930年8月1日 -
中井武三 大佐：1932年4月11日 -
小泉恭次 歩兵大佐：1935年3月15日 - 1936年3月23日
山田栴二 歩兵大佐：1936年3月28日 -
山地坦 少将：1937年11月1日 -
天谷直次郎 少将：1938年7月15日 - 1939年10月2日
人見秀三 少将：1939年12月1日 -
高野直満 少将：1940年12月2日 -
岩切秀 少将：1942年8月1日 -
原田棟 大佐：1943年6月10日 - 1943年8月2日廃止

豊橋陸軍教導学校

武田秀一 大佐：1927年7月1日 -
川原侃 少将：1930年8月1日 -
林茂清 少将：1932年9月1日 -
中井武三 少将：1935年3月15日 -
常岡寛治 少将：1936年3月7日 -
伊藤知剛 少将：1938年3月1日 -
（兼）石黒貞蔵 少将：1939年8月1日 -
（兼）古閑健 少将：1940年8月1日 -
田中信男 大佐：1940年10月1日 -
（兼）小田健作 少将：1941年9月1日 -
（兼）宮崎武之 大佐：1941年10月15日 - 1943年8月2日廃止

熊本陸軍教導学校

深沢友彦 大佐：1927年7月1日 -
古賀徹治 少将：1929年8月1日 -
太田義三 大佐：1931年10月1日 -
福田袈裟雄 少将：1933年8月1日 -
佐枝義重 少将：1934年8月1日 -
浜本喜三郎 少将：1935年12月2日 -
山崎右吉 少将：1938年3月1日 -
千田貞雄 大佐：1939年3月9日 -
佐野虎太 大佐：1940年8月1日 - 1942年3月28日
村上宗治 少将：1942年4月1日 -
石井信 大佐：1943年6月10日 - 1943年8月2日廃止

参考文献

秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
原剛・安岡昭男編『日本陸海軍事典コンパクト版（上）』新人物往来社、2003年。

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