陸軍機甲整備学校

陸軍機甲整備学校とは

陸軍機甲整備学校は、現在の神奈川県相模原市中央区に位置していた、日本陸軍の教育機関の一つです。この学校は、憲兵を除く各兵科の尉官や下士官を対象に、機甲車輌の整備に関する専門的な教育を提供していました。

概要

この学校は、戦車（機甲部隊）の研究が輜重兵の自動車部隊から始まったという歴史的背景を持ち、その後の陸軍騎兵学校、陸軍歩兵学校での研究を経て、陸軍戦車学校へと発展する過程で重要な役割を果たしました。陸軍機甲整備学校では、機動歩兵を含む機甲兵、機動砲兵、機械化工兵、戦車兵といった、戦車学生や牽引車学生を対象とした専門教育が実施されました。

前身

学校の歴史は、1907年（明治40年）に陸軍省兵器局と技術審査部が自動車に関する調査を開始したことに遡ります。1912年（明治45年）には、軍用自動車調査委員会が設立され、1914年（大正3年）には陸軍自動車学校の設立が決定されました。同年には土地の買収が行われ、工事が開始されました。1915年（大正4年）には、軍用自動車試験班が東京市四谷区信濃町に設置され、1917年（大正6年）には自動車班が輜重兵第1大隊から着任しました。その後、1918年（大正7年）に自動車班は陸軍自動車隊に改編され、1919年（大正8年）には練兵場に様々な障害物が設置され、総合訓練が実施されました。

1922年（大正11年）には、第二次買収で土地が拡張され、1923年（大正12年）には研究部が設置されました。また、全国で最も危険な自動車の坂道が設置されたのもこの頃です。

沿革

1925年（大正14年）4月1日、陸軍自動車学校として正式に発足しました。1937年（昭和12年）には、第三次買収により土地が拡張され、馬場が設置されました。1940年（昭和15年）には兵科が廃止され、輜重部隊を養成する部門が陸軍輜重兵学校として分離・独立しました。1941年（昭和16年）には、陸軍機甲本部隷下へ編入され、同年8月1日に陸軍機甲整備学校と改称されました。1943年（昭和18年）には、相模原新軍都に移転し、1945年（昭和20年）10月、大東亜戦争終結に伴い帝国陸海軍が解体されたため、閉校となりました。

組織・区分

陸軍機甲整備学校は、戦車、牽引車、自動車の整備に関する全軍的な教育機関として機能していました。機動歩兵を含む機甲兵、機動砲兵、機械化工兵、戦車兵の戦車学生と牽引車学生を対象に教育を行っていました。

学校の組織は以下の通りでした。

本部
第1中隊：戦車
第2中隊：牽引車
第3中隊：自動車
幹部候補生隊
技術部兵技兵教育
材料廠
人事

歴代校長

以下は、歴代の校長の一覧です。

天谷知彰 少将（陸士11期）：1925年5月1日 - 1927年7月26日
唐原与次 少将 （陸士12期）：1927年7月26日 - 1929年8月1日
飯田恒次郎 少将（陸士14期）：1929年8月1日 - 1933年3月18日
小嶋時久 少将 （陸士15期）：1933年3月18日 - 1934年8月1日
佐々木吉良 少将（陸士17期）：1934年8月1日 - 1935年8月1日
井関隆昌 少将（陸士18期）：1935年8月1日 - 1936年3月23日
土橋一次 少将（陸士18期）：1936年3月23日 - 1938年7月15日
井出鉄蔵 少将（陸士21期）：1938年7月15日 - 1939年3月9日
武内俊二郎少将（陸士23期）：1939年3月9日 - 1940年10月22日
落合忠吉 少将（陸士23期）：1940年10月22日 - 1941年8月1日
落合忠吉 中将（陸士23期）：1941年8月1日 - 1942年4月1日
細見惟雄 少将（陸士25期）：1942年4月1日 - 1943年12月27日
長沼稔雄 少将（陸士25期）：1943年12月27日

歴代幹事

以下は、歴代の幹事の一覧です。

武内俊二郎 大佐（陸士23期）：1937年8月2日 - 1937年9月1日
落合忠吉 大佐（陸士23期）：1938年7月15日 - 1939年4月8日
栗岩尚治 大佐（陸士24期）：1938年4月8日 - 1940年2月14日
中村肇 大佐 （陸士25期）：1940年5月7日 - 1940年12月2日
三島義一郎 大佐（陸士28期）：1940年12月2日 - 1941年7月7日
細見惟雄 大佐（陸士25期）：1941年10月15日 - 1942年4月1日

教育部

部長：飯田恒次郎 大佐（陸士14期）：1925年5月1日 - 1926年3月2日

教官

島本正一 少佐（陸士21期）
小畑信良 大尉（陸士30期）：1931年3月 - 1932年6月日
板花義一 中佐（陸士23期）
武内俊二郎 大佐（陸士23期）：1934年12月10日 - 1935年8月1日
鈴木庫三 大尉（陸士33期）
石原章三 大佐（陸士26期）：1939年1月19日 - 1940年8月13日
小山嘉兵衛 （陸士33期）
松木熊吉 （陸士36期）
向井憲太郎 中佐（陸士期）

練習隊附

岩坪博秀 中尉（陸士42期）：1934年1月　日 - 1934年7月　日

研究部

兼 部員：東條英機 大佐（陸士17期）：1931年9月　日 -
主事：佐治直影 中佐（陸士30期）：1941年8月　日-1942年9月

学校附

田坂専一 大佐（陸士27期）：1938年3月1日 - 1938年7月15日
岩畔博秀　（陸士42期）
高市近男　（陸士47期）
相沢卓司 中佐（陸士47期）： - 1944年9月10日

自校

曾我武雄　（陸士37期）

所在地

東京35区発足前：東京府荏原郡世田ヶ谷村横根
東京35区発足から移転まで：東京府東京市世田谷区桜丘（現・東京都世田谷区桜3丁目・桜丘1丁目周辺）
移転後：神奈川県高座郡相模原町（現・相模原市中央区弥栄3丁目）

陸軍自動車学校が立地していた東京都世田谷区桜丘には、戦前まで渋谷区の常磐松御料地にあった東京農業大学が移転しました。その後、1949年には農大一高が開校しました。相模原移転後の跡地は、進駐軍、在日米軍キャンプ淵野辺を経て1974年に返還され、淵野辺公園が建設されました。

脚注

注釈

関連項目

自動車学校-自動車整備学校
自衛隊自動車訓練所
大日本帝国陸軍
神奈川県の軍事遺跡一覧
キャンプ淵野辺
東京農業大学

外部リンク

* 特集都内に残る旧日本軍の遺稿　世田谷編2

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