隆慶帝

隆慶帝（りゅうけいてい）は、明朝の第13代皇帝であり、廟号は穆宗（ぼくそう）、諱は載坖（さいき）である。日本では、在位中の元号から一般的に隆慶帝として知られている。彼は嘉靖帝の三男として生まれ、3歳で裕王に封じられた。

嘉靖帝の晩年、明朝は内政の乱れに加え、「北虜南倭」と呼ばれる倭寇とモンゴル系タタールによる侵攻に苦しんでいた。隆慶帝は即位すると、これらの問題を解決するために、嘉靖帝時代に諫言により罪を得ていた徐階や海瑞といった有能な人材を積極的に登用した。また、朝廷で権勢をふるっていた道士たちを一掃し、政治の刷新を図った。財政再建のため、海外貿易を解禁し、倭寇やタタールに対しても一定の貿易を認める柔軟策を採り、対外的な安定をもたらした。これらの政策は、明朝の衰退に歯止めをかける上で重要な役割を果たした。

しかしながら、隆慶帝自身は凡庸な皇帝であり、政治への関心は薄かったとされている。政務は主に大学士に委ねられ、自身は酒色に溺れる日々を送っていた。享楽的な生活がたたり、在位わずか5年5ヶ月、36歳で崩御した。在位期間は短かったものの、彼の時代に実施された改革は、後世に大きな影響を与えた。

隆慶帝の宗室は以下の通りである。

后妃
孝懿荘皇后 李氏（皇子時代の嫡妃、皇后を追号された）
孝安皇后 陳氏
孝定皇后 李氏
端静淑妃 秦氏
賢妃 江氏
栄恪徳妃 李氏
荘僖栄妃 王氏
端恪恵妃 馬氏
琦妃 葉氏
端恵懿妃 于氏
容妃 韓氏
端妃 董氏
恭恵荘妃 劉氏
昭順英妃 魏氏
昭栄恭妃 李氏
昭靖敬妃 荘氏
栄悼安妃 銭氏
恭静和妃 趙氏
妃 孔氏
妃 劉氏
妃 陳氏
妃 解氏
妃 張氏

男子
憲懐太子 朱翊釴 - 母は孝懿荘皇后。早世。
靖悼王 朱翊鈴 - 母は孝安皇后。夭折。
万暦帝 朱翊鈞 - 母は孝定皇后。
潞簡王 朱翊鏐 - 母は孝定皇后。

女子
蓬萊公主 - 母は孝懿荘皇后。夭折。
太和公主 - 夭折。
寿陽公主 朱堯娥 - 母は孝定皇后。侯拱辰に降嫁。
永寧公主 朱堯媖 - 母は孝定皇后。梁邦瑞に降嫁したが、2ヶ月後に死別。
瑞安公主 朱堯媛 - 母は孝定皇后。万煒に降嫁。
延慶公主 朱堯姫 - 王昺に降嫁。
棲霞公主 朱堯㜢 - 母は淑妃秦氏。夭折。

隆慶帝は、その生涯において多くの女性と子をもうけたが、特に万暦帝を後継者として残したことは、明朝の歴史において重要な出来事であった。

隆慶帝が登場する作品

テレビドラマ『大明王朝 〜嘉靖帝と海瑞〜』（中国、2006年）演：郭広平
テレビドラマ「万暦首輔張居正」（中国、2010年、日本未公開）演：巫剛

これらの作品では、隆慶帝の時代背景や彼の人となりが描かれている。

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