隋の高句麗遠征

隋の高句麗遠征

隋の高句麗遠征は598年から614年にかけて行われた高句麗への四回にわたる軍事行動で、隋の帝国による重要な試みの一つとされています。この遠征は日本や中国の歴史研究において特に注目されており、様々な呼称で言及されています。一般的には「隋の高句麗親征」「隋の高句麗出兵」または「隋の高句麗侵攻」といった用語が使われることが多いです。特に598年の文帝楊堅による出兵は「隋の高句麗討伐」としても知られています。

背景と初回の遠征

この遠征は、高句麗の嬰陽王が遼西を攻撃したことを受けて開始されました。598年、隋の文帝は30万人の大軍を編成し、陸海両面から高句麗へ侵攻しました。しかし、周羅睺が指揮する海軍は暴風に遭って撤退を余儀なくされ、陸軍も十分な勝利を上げることができず、伝染病や補給不足が原因で結局撤退しました。この初回の遠征は惨憺たる結果に終わり、隋の軍事力の限界を浮き彫りにしました。

第2次遠征と戦闘の展開

隋の関与が続く中、次に進んだのは煬帝の治世にあたる611年でした。煬帝は朝鮮半島の支配を強化するため、高句麗への攻撃を決意しました。612年の正月、隋は113万人の大軍を再度あげて高句麗へ侵攻しました。この時、高句麗の将軍、乙支文徳は巧妙な戦略を用いて、隋軍を自らの陣営へ誘導しました。彼は隋軍が補給路に問題を抱えていることを把握し、焦土作戦を展開。隋軍を誘い込み、最終的に薩水で包囲し、ほぼ全滅に追い込むことに成功しました。この勝利は「薩水大捷」として韓国で称えられています。

第3次、4次の遠征と結果

613年には再度高句麗に進攻しましたが、隋国内の反乱（楊玄感の反乱）により、隋軍は撤退することとなりました。翌614年にも高句麗へ侵攻を行いますが、これも戦争によって疲弊していた高句麗内部での動きが影響し、和議を結ぶ形での対応が求められました。その中で、隋国の将軍が高句麗に亡命していた反乱者を引き渡すことになりましたが、結局は和議後の反乱により、再度の侵攻は果たされませんでした。

隋の高句麗遠征の評価

この一連の遠征は後の時代において中朝関係の重要な出来事とされ、煬帝が求めた朝鮮半島の領有策は、当時の大国の戦略においても存続の一環であることが評価されています。特に煬帝はこれを「遼東の役」と位置づけ、歴史の中での領土回復を試みたことが評価されており、当時の新羅や百済への影響も含めて広い視野で論じられています。

高句麗への攻撃は、単なる軍事行動だけでなく、当時の政略や文化的な相互作用をも示したものであり、隋が何を目指していたのかを理解する上で重要な歴史的な教訓を残しています。

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