離型剤

離型剤：型から製品をスムーズに取り出すための必須アイテム

離型剤は、パンやコンクリート、鋳物など、型を用いて製造する様々な製品において、型から製品を容易に取り出すために使用される重要な薬剤です。その種類や用途は、対象となる材料によって大きく異なります。

食品製造における離型剤

製パンにおいては、生地の分割工程で離型剤が用いられます。自動分割機のカッターへの生地の付着を防ぐため、油脂系の液状離型剤（デバイダー油）がカッターに噴霧・滴下・塗布されます。

かつては鉱物油が使用されていましたが、現在日本では主に流動パラフィンや植物性ワックスが使用されています。日本の食品衛生法では、流動パラフィンはパンの離型剤としてのみ使用が認められており、他の用途や他の食品への使用は禁止されています。パンに残留する量は0.1%以下と厳しく規定されており、酸化防止のためα-トコフェロールの添加が認められています。

コンクリート製造における離型剤

コンクリートの型枠には、木製のものと金属製のものが用いられます。従来、木製の型枠には軽油や廃油と軽油の混合物が使用されていましたが、金属型枠の普及に伴い、離型性と防錆性の向上が求められるようになりました。

そのため、潤滑油をベースに植物油、脂肪酸エステル、有機酸などの添加剤を配合し、灯油や軽油で希釈したコンクリート専用の離型剤が開発されました。遠心式成型（ヒューム管など）では、エマルションタイプの離型剤が使用されます。

鋳造における離型剤

鋳造では、鋳造方法によって離型剤の種類が異なります。ワックスを乳化させたものや、黒鉛微粒子を水に分散させたものを鋳型に噴霧する方法、あるいは雲母やひる石などの耐熱顔料を水に分散させて被膜を作る方法（塗型剤）があります。1ショットごとに噴霧する方法もあれば、被膜を作る方法もあるなど、多様な手法が用いられています。

ゴム・プラスチック製造における離型剤

ゴムやプラスチックの製造では、使用する樹脂の種類によって適切な離型剤を選択する必要があります。フッ素系やシリコーン系などの離型剤が一般的に使用されています。樹脂の種類や製造方法によって、最適な離型剤は異なってきます。

離型剤の安全性と環境への配慮

離型剤の安全性と環境への影響は、製造工程において重要な考慮事項です。食品に使用される離型剤は、厳格な基準を満たす必要があります。また、コンクリートや鋳造用の離型剤においても、環境規制への適合が求められます。近年では、環境負荷の少ない、より安全な離型剤の開発が進められています。

まとめ

離型剤は、様々な産業において、製品の製造工程を円滑に進めるために欠かせないものです。その種類や性質は、使用する材料や製造方法によって異なり、それぞれの用途に最適な離型剤を選択することが重要です。安全性と環境への配慮を考慮した適切な離型剤の選択と使用が求められています。

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