難太平記

難太平記

『難太平記』（なんたいへいき）は、応永9年（1402年）に今川貞世（のちの了俊）によって完成された歴史書です。この書物は主に今川氏と足利氏の歴史をテーマにしており、子孫に向けて書かれています。書名は今川家を軽視した『太平記』に対する批判から名付けられたとされていますが、実際には著述当初にはこの名称はなく、後世に付けられたものであると考えられています。

実際の内容は批判以上に、足利将軍家に対する忠誠心や今川家の歴史的意義を重視したものとなっています。書の後半部分では、貞世自身が体験した南北朝時代の終わりから室町時代の初期にかけての出来事が詳細に記されています。

主要な内容

この書物に記されている内容は多岐にわたります。まず、著述に至った理由や過程が述べられ、続いて足利氏の歴史と今川氏の歴史が語られます。それから、今川荘の歴史やその寄進の詳細、さらに足利尊氏と足利直義兄弟の生涯について説明されています。

足利尊氏の上洛の際における問題や上杉憲房との関係、そして『太平記』の成立過程に関する誤謬についても触れられています。加えて九州における出来事や、篠村八幡宮における旗揚げの事、八々王の太刀の由来や直義の心情についても考察されています。

また、中先代の乱における今川一族の活躍や北畠顕家との戦闘に関するエピソードも詳細に記述され、特に今川範国の功績については力強く描かれています。書中では今川家の軍旗「赤鳥」の由来や、家督、領国に関する悲哀が綴られています。

そのほか、細川清氏の忠義や深慮についても述べられています。応永の乱に関しては、足利義満に対する批判が展開され、反省のない義満の祈祷を痛烈に糾弾する一方で、忠功を顧みない姿勢に対しても厳しい視点からの批判が繰り返されています。

まとめ

『難太平記』は今川氏の立場からの視点で綴られた歴史書であり、足利家との関係における忠誠心や誇りが強調されています。この書物は後世における日本の歴史理解に寄与する重要な文献で、群書類従の巻三百九十八にその全文が収められています。

国立国会図書館デジタルコレクションにも収録されており、一般の人々がアクセスできる形でも公開されています。このように『難太平記』は今川氏の歴史を知るための貴重な資料として、現在でも多くの人に読まれ続けています。

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