今川範国

今川範国（いまがわ のりくに）

今川範国は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した守護大名で、駿河今川氏の初代当主として名を馳せました。彼は今川基氏の五男として生まれ、出家して北条高時に従ったとされており、彼の生涯は政治・軍事・文化において多岐にわたりました。

生涯の概要

彼の人生は数多くの歴史の転換点に関与したことが特徴です。元弘の乱においては幕府に対する抵抗運動に従事し、幕府の崩壊後、後醍醐天皇が始めた建武の新政において、足利尊氏と行動を共にしました。このような混乱の時代にあって、彼は軍事的活動を展開し、建武3年（1336年）には遠江守護職、続いて駿河守護職の任命を受けました。

遠江守護職は、彼に代わって仁木義長や千葉貞胤が一時的に任命されることもありましたが、文和元年（1352年）に再度職務に復帰します。文和2年（1353年）には、家督と守護職を長男の範氏に譲り、隠居生活に入りますが、足利直義の死後、尊氏の求めに応じて室町幕府の重要な役職に就きました。貞治4年（1365年）には、範氏が急死し、次男の貞世が後を継ごうとしましたが、彼自身がそれを拒否したため、範氏の子である孫たちが家を継いでいくことになります。範国は1384年5月19日にこの世を去りました。

文化的な影響

範国は武士としての側面に加え、歌道や有職故実にも秀でた文化人としても知られています。特に、足利将軍家の儀式を指導するなど、後世に大きな影響を与えました。彼の文化的な側面は、ただ単に武士の役割を果たすにとどまらず、当時の社会において重要な位置を占めていました。

生年の考察

範国の生年については、様々な説があります。『難太平記』によれば、彼は嘉元2年（1304年）に生まれたとされていますが、その他の文献によると、永仁3年（1295年）的な生まれであるとも記されています。この矛盾は、当時の資料の解釈や記録の誤りに起因していると考えられています。例えば、嫡子である範氏の出生が正和5年（1316年）であるため、前者の説では範氏が11歳のときの子となってしまうなど、不自然な点が多々あります。

系譜

範国の家族構成は以下のようになります。父親は今川基氏で、母親は香雲院です。彼の嫡男は今川範氏で、次男に今川貞世、三男に今川氏兼がいます。その他にも今川仲秋という男子がおり、今川一族はその後の幕臣や大名として続いていくことになります。

参考文献

• - 大塚勲『今川一族の家系』羽衣出版、2017年7月。ISBN 978-4-907118-30-3

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