雲居寺 (京都市)

雲居寺（うんごじ）とは

雲居寺は、かつて現在の京都市東山区に存在した寺院です。「雲孤寺」「雲古寺」とも表記されました。
身の丈八丈（約24メートル）の塗金された阿弥陀如来像（大仏）を安置していましたが、応仁の乱で焼失しました。
「南都（東大寺）の半仏雲居、雲居の半仏東福（東福寺）」と称され、東大寺大仏、東福寺大仏と並び称されていました。
現在、高台寺が立地している場所に、雲居寺はありました。

歴史

創建

雲居寺の創建時期は明らかではありません。『続日本紀』に、菅野永岑が父菅野真道が建立した八坂東院という道場一院について、院を分離してその寺地と定めることを建議し、許可されたとする記述があります。その後八坂東院は「雲居寺」と改称されたようです。

瞻西による大仏造立

雲居寺大仏は、瞻西上人（せんせい）が造立しました。瞻西は比叡山で修行していましたが、浄土教の普及から阿弥陀如来への信仰を深めるようになりました。雲居寺に入り、大仏を造立することを発願し、天治元年（1124年）に阿弥陀如来の大仏が落慶しました。

落慶した堂は「勝応弥陀院」と称しましたが、建仁2年（1202年）には浄土宗の開祖法然が百日参籠したといいます。

雲居寺は大仏のことを「身の丈八丈の黄金大仏」と公称していました。歴史学者の川勝政太郎は、身の丈表記は大仏座像が立ち上がったと仮定した寸法であり、実寸は四丈（約12m）であったとしています。

永享年間の焼失と足利義教による大仏再建

瞻西の造立した雲居寺初代大仏は、室町時代の永享8年（1436年）に焼失してしまいます。時の将軍足利義教は、木造で大仏の再建を命じました。

『蔭涼軒日録』によれば、永享11年(1439年)6月に京都高辻大宮仏師と東方仏師が共同で大仏の造像を開始しました。大仏は永享12年（1440年）に完成しましたが、足利義教の検分の結果不合格となり、再度造り直すことになりました。

その後禅僧の周文と別の奈良仏師が再度大仏の造像にあたり、永享12年（1440年）6月から造像を開始し、11月に完成しました。
新しく造像された仏像には、脇侍のほか、仁王像や、日本では珍しい涅槃像も造像されていました。

『蔭涼軒日録』嘉吉元年（1441年）6月14日条には雲居寺の再建が完了し、義教に披露されたとあります。しかしその10日後の6月24日に、義教は赤松氏に謀殺されました。

なお京都の十念寺の阿弥陀如来像は、雲居寺から移したものとの伝承があります。

義教の再建した2代目大仏は、落慶から二十数年後に発生した応仁の乱で焼失しました。『応仁記』には、「雲孤寺と申すは奈良半仏尊の像、雲を穿つ大伽藍」と記されています。

応仁の乱から約130年後の京都には、豊臣氏によって方広寺大仏（京の大仏）という別の大仏が造立されました。雲居寺の旧境内には秀吉の正室高台院の意向で、高台寺が創建されました。

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