雲峰郡

雲峰郡（ウンボンぐん）について

雲峰郡は、現在の韓国・全羅北道南原市の東部に位置していた旧行政区画です。雲峰郡は雲峰邑を中心に、阿英面、引月面、山内面の1邑3面から構成されていました。地域の歴史的背景が豊かで、百済と新羅という重要な王国の間で数世紀にわたって繰り広げられた争いの舞台でもありました。

由来の背景

この地域の名称は、元々は百済に存在した阿英城や阿莫城から来ています。『三国史記』地理誌では、新羅の母山県と記載されており、非常に古い時代から新羅領土であったとされていますが、地理的には不可能な記述であり、三国時代の後期に書かれたと考えられています。実際には、この地域で発掘された伽耶の遺物が多く、伽耶と関連が深い地域とされています。また、「雲峰」とは新羅時代以降の名称で、その他にも「阿英」や「阿容谷」、「阿莫」といった別名でも知られています。

歴史的経緯

雲峰郡は、かつて馬韓地域に属し、大伽耶が進出して「上奇勿」を建設しました。その後、百済の武寧王の治世にこの地は百済に編入され、同時期に阿莫城が築かれました。565年には新羅がこの地域を占領し、母山県を設置しましたが、その後は新羅と百済の間で激しい国境紛争が続きました。602年には百済の軍が母山城を包囲し、616年には百済軍によって城が陥落しました。これ以降、この地域は百済による新羅への侵攻ルートとして重要な役割を果たしました。

757年、景徳王16年には行政制度が改編され、雲峰県に名称が変更され、康州天嶺郡の領域となりました。雲峰という名前はその後も変わらず続き、現在の阿英面阿谷里には阿容部曲が存在しました。

940年（高麗太祖23年）には南原府の属県となり、1380年には荒山での戦いが起こり、高麗軍が倭寇を殲滅しました。1391年には阿容谷に農兵の役所が設置され、新しい領政が行われました。1392年には李氏朝鮮が開国し、李成桂がこの地域を治め、南原から独立しますが、1605年に南原に再合併され、1611年には再び分割されることになります。

1895年には23府制が施行され、行政区域が整理されて県制度が廃止され、雲峰郡として再昇格し、南原府の管轄となりました。その後も、13道制の導入によって全羅北道に属することとなりました。日本統治時代の1914年には、南原郡に統合され、地域の行政区画が再編成されました。

1995年には雲峰面が雲峰邑に昇格し、旧雲峰郡地域は南原市の下に1邑3面に組み込まれ、現在に至ります。このように、雲峰郡は長い歴史を有し、多くの時代の変遷を経て、今もその名を残しています。

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