雲母温泉

雲母温泉

新潟県の北部、豊かな自然が息づく岩船郡関川村に、雲母温泉（きらおんせん）はひっそりと佇んでいます。清らかな流れを見せる荒川に寄り添うように位置し、同じく荒川沿いにある湯沢、高瀬、鷹ノ巣、桂の関の各温泉地とともに、「えちごせきかわ温泉郷」を形成する一角を占めています。

泉質

雲母温泉の魅力の一つは、複数の源泉がもたらす多彩な湯です。現在、主に三つの源泉が利用されており、それぞれに特徴が見られます。

雲母1号井: 主に共同浴場である上関共同浴場と雲母共同浴場で利用されています。泉質はナトリウム-塩化物・硫酸塩泉で、低張性弱アルカリ性の高温泉です。源泉温度は69.0度と比較的高めです。
2号井: こちらもナトリウム-塩化物・硫酸塩泉に分類されますが、低張性弱アルカリ性という点では1号井と同様ながら、源泉温度は95.0度と非常に高温なのが特徴です。
3号井: この源泉もナトリウム-塩化物・硫酸塩泉ですが、低張性中性高温泉という違いがあります。源泉温度は62.3度です。

総じて、塩化物泉と硫酸塩泉の成分を併せ持ち、身体の芯から温まる効果や美肌効果などが期待できる泉質と言えるでしょう。

温泉街

温泉街は、荒川の左岸に沿って形成されており、川を挟んだ対岸には高瀬温泉があります。規模は大きくなく、現在営業している旅館が二軒と、地域住民や湯治客に親しまれている共同浴場が二軒が点在しています。かつてはもう一軒旅館がありましたが、現在は休業しています。

温泉地全体に、いわゆる歓楽的な要素はなく、静かで落ち着いた雰囲気に包まれています。喧騒から離れ、穏やかな時間を過ごしたい旅行者に適しています。宿泊客だけでなく、旅館によっては日帰り入浴も受け付けており、気軽に温泉を楽しむことができます。

歴史

雲母温泉の歴史は、えちごせきかわ温泉郷の中では比較的浅い部類に入ります。その産声を上げたのは、昭和34年（1959年）のことです。しかし、その名前の由来には、この地域の自然が深く関わっています。

温泉地周辺には、古くから花崗岩が多く見られる地域でした。この花崗岩の中に含まれる鉱物である雲母（うんも）が、太陽の光や灯りを受けてきらめく様子から、この温泉は「雲母温泉」と名付けられたと伝わっています。

アクセス

雲母温泉へのアクセスは、複数の方法が利用可能です。

公共交通機関: JR米坂線の越後下関駅が最寄り駅となります。駅から温泉地までは車で約5分程度の距離です。また、高速バス「Zao号」の「下関」バス停（新潟交通観光バス下関営業所前、越後下関駅前交差点脇）からもアクセスできます。

越後下関駅や下関営業所からは、温泉地までの移動手段として以下の選択肢があります。
レンタサイクル「湯～チャリ」: 駅近くの自転車店や温泉街で借りることができ、乗り捨ても可能です。周辺の散策にも便利です。
路線バス: 新潟交通観光バスの路線バスも運行していますが、平日の運行のみで本数は少ないため、事前に時刻表を確認することをおすすめします。

* 車: 高速道路を利用する場合、日本海東北自動車道の荒川胎内ICが便利です。ICからは国道113号を経由して約16 km、所要時間は約20分程度です。

静寂の中で良質な温泉を堪能できる雲母温泉は、日頃の疲れを癒し、心身ともにリフレッシュするのに最適な隠れ家のような存在です。

もう一度検索